榊原家文書における近世後期幕政関係史料の調査

一九九六年二月二〇日〜二三日の間、上越市立高田図書館(上越市大手町四—三二)に出張し、同図書館所蔵榊原家文書を対象に、近世後期幕政関係史料の調査・撮影を行った。同文書は、各種藩日記をはじめとする藩政史料であるが、とくに大目付廻状留(『上越市立高田図書館 古文書資料目録』では、〇一一—四「御目付御廻状留」)は、明暦から文久年間にわたり、全一〇八冊と充実している。また、領内での法令関係史料も存在するので、二、三対照した結果、幕府法令の伝達過程をある程度追えることが分かった。ただし、日記類については虫損の甚だしいものが多かった。撮影した史料は、右記大目付廻状留のうち、第一二〜第八八冊である。同史料については、一九九〇年度に科研費による採訪で第一〜第一一・第一〇五〜第一〇八冊を撮影しているので、両者を合わせると、第八九冊〜第一〇四冊を除き撮影したことになる。なお調査にあたっては、同館館長補佐大道智紘氏にたいへんお世話になった。記して謝意を表したい。
                       (藤田 覚・鶴田 啓・箱石 大)

『東京大学史料編纂所報』第31号