秋田県公文書館・秋田県立博物館所蔵近世後期幕政関係史料の調査

一九九三年十一月三十日から十二月四日まで、秋田県公文書館と秋田県立博物館に赴き、近世後期幕政関係史料の所在調査をおこなった。
 秋田県公文書館は、佐竹文庫を初めとする秋田県立秋田図書館旧蔵史料、および秋田県庁総務部行政管理課旧蔵史料、秋田県立博物館旧蔵史料を統合しているので、秋田藩関係の史料をほぼ網羅している。佐竹文庫のほか、佐藤信淵関係史料を集めた弥高文庫、平田篤胤の著作の版木や自筆本を集めた平田篤胤文庫など、特色のある史料群を所蔵している。
 今回は、近世後期の幕政関係史料の所在を確認する作業をおもな目的として、調査をおこなった。以下に調査の概要を報告する。
一 秋田県公文書館所蔵史料
 1 佐竹文庫
 佐竹文庫は一括して秋田県立秋田図書館より秋田県公文書館に移管されているが、文書番号は変更されていないので、『秋田県立秋田図書館所蔵・佐竹文庫目録』壹・弐・参(秋田県立秋田図書館、一九五五・五七年)がそのまま利用できる。
佐竹宗家旧蔵文書
〔AS209—62 公儀被仰渡御張出控〕
         覚
      以来生替之鷹打留候ハゝ例年献上之内江込メ被指上可申候、尤献上相済候以後見当候ハゝ、立花出雲頭(ママ)江可被申聞候、
          別紙
      定例被指上候黄鷹隼鶏雀鶏等之類に茂自然生替見当候ハゝ、其段立花出雲頭(ママ)江可申聞、以上、
   右之通、辰三月十一日御老中安藤対馬守様〓御留主居御呼出ニ而、小林与惣罷出候所、右書付弐通彼方御用人端山孫太夫を以被相渡候、依而左之通申渡候、
  一年々鷹待中格別生替之鷹打留候ハゝ、第者勿論隼鶏雀鶏等之類にても打留次第指上候様江戸表〓被 仰出候由にて、向々江申渡候、以上、
   寛政八年
      辰九月
〔AS209—71 公辺向見聞録〕                    一冊
 安永〜寛政年間における江戸幕府儀礼関係の記録などを集めて一書としたもの。編者は不明だが、元若年寄や高家など知音の幕臣を通じて情報を入手している。

『東京大学史料編纂所報』第29号