大日本史料第一編補遺別冊一

大日本史料第一編は、宇多天皇仁和三年(八八五)八月より花山天皇寛和二年(九八六)六月までを二四冊に収載する(二十四は一九八八年三月刊行)。ところが、第一冊の編纂刊行後、史料の脱漏、係年の誤り、綱文の誤りに気付いていたところがあった。また新発見や新たに蒐集した史料には、既刊行分に補わねばならないものも数多くあった。そこで、一〜九冊については、誤植等の軽微な誤りを正誤表(次冊以降に添付)により訂正することを行い、二・三・六冊においては製作・校正中に気付いた史料を巻末の「補遺」により収載することを行った。また、補遺用の切張り原稿や未収史料の編年カードも部内において蓄積し、訂正用原本への補遺用書込も行ってきた。その結果、補遺用切張り原稿だけでも、現在の一冊の頁数で三冊分以上の量に達する程になった。そこで、本編完成に引続いて、「大日本史料体例」に基づいて、第一編の全期間に関する別冊の補遺を刊行することとした。
 第一編補遺の編纂については、次の基本方針を立てた。
 一、補遺採録基準

『東京大学史料編纂所報』第27号 p.67-69