阪本龍門文庫における調査

昭和六十二年七月二十八日、阪本龍門文庫(奈良県吉野町)において、『大日本史料』第一編之二十四(昭和六三年三月刊行)寛和二年(九八六)三月の円融法皇の東大寺での受戒の条の編纂のために、『東大寺御受戒式』一巻を閲覧・調査した。本書は『龍門文庫善本書目』に解説がある(一八五〜一八七頁)。康治元年(一一四二)五月五日の鳥羽法皇と藤原忠実の東大寺での受戒に際して、寛信が、寛和二年の円融法皇の受戒次第の記録である源為憲撰『太上法皇御受戒記』を参照して鳥羽法皇のために撰述した受戒式である。
                            (石上英一・山口英男)

『東京大学史料編纂所報』第23号