大分県下幕末維新期史料調査

近世史料部維新史料室では、一九八一年十二月七日から十二日まで、中津市立小幡記念図書館・臼杵市立臼杵図書館・大分県立大分図書館を訪れ、中津藩・臼杵藩・府内藩の幕末維新期史料の調査をおこなった。調査の概要は左の通りである。
一、中津市立小幡記念図書館
 中津市立小幡記念図書館所蔵の中津藩政史料については、一九六八年に福岡大学教養部松平志朗氏らの作成した「奥平藩藩政資料仮目録」が同館にあり、その史料番号によって閲覧ができる。全史料の概要は、所報一〇号九〇頁の阿部善雄氏の調査報告でわかるが、今回は、幕末維新期の史料の内容調査を主な目的とした。近年、「市令録」が中津藩史料叢書として図書館から刊行され、また、中津藩史料刊行会によって「惣町大帳」の刊行が開始された。両書には詳細な解題があるので、右の史料は概観するにとどめ、調査の重点は、藩日記・月番帳・家老山崎氏の御用所日記などの内容検討、惣町大帳と御用控との関係の確定にしぼった。以下に所見を記す。なお、史料名の上に付してある数字は、史料番号である。
○日記

『東京大学史料編纂所報』第17号