羅紗はポルトガル語の raxa の転じた語である。近世の初頭にポルトガル船が持ち渡った raxa をラシャと呼んだのがはじまりである。羊毛で地が厚く、織(平織)の組織がわからないほど毛羽 立たせた毛織物である。黒・白・紺・青・鼠・茶・黄色等さまざまな色のものがあるが、緋色の大 羅紗は特に猩々緋と呼ばれることがある。 大羅紗の「大」とは小羅紗の「小」に対する語で丈の長いことを表すようである。しかし、大羅 紗と小羅紗の典型的な違いは織にあり、大羅紗は上述のように平織であるが、小羅紗は経糸二本ご とに緯糸を通した三枚綾織である。
February 1998; wwwsiryo@hi.u-tokyo.ac.jp