『大日本史料』等日本史史料を自力で組版する試み

“LaTeX”へ取り組んだ記録を綴っております


5月11日

私にLaTeXの存在を教えてくれた先達お二人、跡上史郎さん日比嘉高さんから好意的なメールを頂戴しました。ありがとうございました。お二方は国文学研究者ですが、やはりこうした試みは学問横断的に、複数の人間同士で刺激しつつ進めるとはかどるものです。これからもよろしくお願いします。


4月26日

実際やってみてわかったこと

先日実際に組見本づくりにチャレンジして、直すべき点やこうなればもっといいのにという点がわかってきた。
たとえば行のインデント。『大日本史料』の本文は一字下げで揃えるので、そのためにはどうすればいいか。これはTeX文書で文章を組む場合全般に応用できるだろう。
印刷してみてわかったのは、やはり400dpi程度のプリンタでは、傍注のような小さい文字がうまく出ないということ。印刷物にかぎりなく近い出来を求めるのであれば、ポストスクリプトプリンタが必要だ。
まだまだあるが、とりあえずこんなところか。

次のステップ

21日の組見本で組んだ傍注や組文字は、市販のワープロソフト(たとえばword)でもやろうと思えばできる。そこで次にそうしたワープロソフトでは実現が不可能か、実現できてもやり方に一工夫を要する組み方(見せ消ち、重ね書き)などにチャレンジしたいとおもったが、これは次回に。


4月21日

インストール決行

昨日購入したA書にはCD-ROMが付いており、そこからpLATEX2eの統合環境をインストールできるようになっている。そこで今日さっそくこれらを自分のコンピュータにインストールする。
また、このなかには、テキストエディタ「秀丸」上でTeX文書を作成できるマクロも含まれており、常日頃文書作成に秀丸を使用している私にとっては好都合だ(秀丸自体もここからインストールできるので、秀丸を使っていない人も大丈夫。いうまでもないが、秀丸はシェアウェアソフト)。
インストールはトラブルなく終了。ハードディスク50MB程度の空きを要する。
ちょっと戸惑ったのは、秀丸へのマクロの登録。ただこれもあれこれいじっているうちになんとかなった。
さっそくA書に記されているテスト原稿にしたがって入力を試み、それをTeX文書(拡張子tex)として保存、その文書をプレビューア(これも一緒にインストールされる)で見てみる。
おおーっ! 大感動。ちゃんとそのとおりに表示される(あたりまえか(^^;)。このプレビューアに表示された組版結果のまま印刷されるというわけ。

ためしにやってみた

この勢いで具体的に組んでみた。実際やりながら覚えていくのが、マスターの早道なり。(>>ちょっと見にくいですが組見本はこちらです)まず割書やルビを割り付けるため、金水氏が作成されたスタイルファイルをダウンロードし、それを文書のなかに書き込み(下記TeX文書の太字の部分)、あとは文書を入力して、金水氏作成のマニュアルにもとづいて適当な箇所に割書やルビを割り付ける、という手順を踏んだ。
素材は、『大日本史料』第十編之二十二の1頁(天正二年四月八日条)にある佐野昌綱卒条の冒頭に掲げられている「下総旧事」の文書とした。若干のズレや、正字と新字の違いはあるが、はじめてにしてはまあまあの出来か。ちなみに、それをTeX文書で見ると、下のようになります。

\documentclass[a4paper,10pt]{tarticle}
\usepackage{plext,kunten2e}
\pagestyle{plain}
%%%%%% TEXT START %%%%%%
\begin{document}
{\Large 八日、\sougyou{壬}{子、}下野佐野城ノ佐野昌綱卒ス、子宗綱嗣グ、}

{\Large 〔下総旧事〕\sougyou{三 葛飾郡三}{水海村槇嶋藤内所蔵文書}}

対\MigiNakaTn{陸奥守}{(北条氏照)}十四日芳札、今廿日巳刻披見、抑昌綱御遠行之由、絶是非候、不承合以飛

脚申候、此上之儀、\MigiNakaTn{宗綱}{(佐野)}へ彌貴老御助言肝要候、猶其砌可申候、恐々謹言、

    \MigiKintoTn{三月卅日}{( マ ヽ )}               \MigiNakaTn{氏政}{(北条)}

     \MigiNakaTn{天徳寺}{(佐野房綱)}
\end{document}

要は、HTML文書と同じように、文字の組み方に関するコマンドをプレーンテキストのなかに書き込んで、それをTeX文書として(texの拡張子を付けて)保存すればいいということ。言うは易し行うは難し、か。やっぱりちょっと面倒かなあ。どうでしょう。


4月20日

A 乙部厳巳『pLATEX2e for WINDOWS Another Manual』vol.0 Upgrade Kit(ソフトバンク、1997年、2000円)
B 奥村晴彦『LATEX2e美文書作成入門』(技術評論社、1997年、2980円)
C 藤田眞作『続LATEX2e階梯・縦組編』(アジソン・ウェスレイ・パブリッシャーズ・ジャパン発行/星雲社発売、1998年、3500円)
以上三冊を購入。いよいよ“LaTeX”の勉強開始。


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