1.復元する古文書料紙の選定

長谷川氏を交えて研究集会を行い議論した結果、東京大学文学部所蔵「東大寺文書」として伝えられている下記の古文書料紙のデータに基づいて柔細胞を含む紙を復元することとした。

90001_0002_0001 天喜四年五月二日 東大寺封戸代米返抄

  

90001_0002_0002 (康和五年)九月五日 僧厳慶奉書

90001_0002_0007 寛元元年後七月二日 東大寺五師所下知状

                  

90001_0002_0014 暦應三年十月晦日 某起請文

  

90001_0003_0001 天喜四年八月六日 東大寺封戸代米返抄

90001_0003_0002 久安五年二月 日 僧頼仁田地直米請取状

90001_0003_0003 建保四年二月 日 僧隆円田地直米請取状

90001_0003_0007 貞和参年〈丁/亥〉十一月廿六日 源義用名田売券

  

90002_0003_0000 嘉應元年八月廿二日 豊井荘官等二見郷地子指上日記案

90002_0004_0000 嘉應貮年六月十日 

  

90002_0005_0005 弘安二年八月廿三日 東大寺所司文書出納日記(後欠)

90002_0005_0006 (文永十一年) 高殿荘文書案(前欠)

90006_0004_0000 嘉暦肆年三月 日 大井荘下司代僧堯円注文(前欠)

90007_0003_0000 暦應五年卯月 日 大井荘下司職暦応五年算用状

  

これは、本科研の成果によって古文書料紙の物質分類を行う上で重要なメルクマールとなることが明らかにされつつある柔細胞について、どのような紙漉きの工程によって柔細胞を含む紙が出来るのかを明らかにするためである。

これらの料紙については、長谷川氏に来所していただき原本を観察する機会を設けるとともに、本科研で開発した「和紙修復研究システム」を用いて調査したデータを氏に提供して復元を進めた。