画家は、完成された作品に対して、技術を習得するために模写を行ってきました。 日本の画家たち特に狩野派は、お家芸として伝統的な技法を継ぐために、模写を多く作り出しています。 しかし、現在の画家たちは、自由で独自の表現を求めるため、古い伝統的な絵画の模写を行うということはしません。現在の模写は博物館などで原本の消失や劣化を保護するために模写を作るようになり、利用されるようになってきました。」 史料編纂所では、明治以来、歴史の研究材料となる、絵画の蒐集や調査を行ってきました。 しかし、その史料は伝存した場所に保存するのが原則といえます。そこで、原本に忠実な模写を作り、 研究の材料としているのです。 また、原本が何かの理由で失われてしまった場合に備えて行うという意味もあり、 文化財の保存上大切な仕事であると言えます。
そのほか、模写を行う過程で、色の種類や虫食いの場所など様々な情報が出てきます。 これは原本を解釈する上で貴重な情報となるので、 これらの記録を取り後世に残すことも大切な仕事となってきました。 ※参照技術報告リスト