東京大学史料編纂所

研究種目名 基盤研究(C)
研究課題名 独墺瑞三国における一九世紀日本古写真と日本認識素材の復原的研究(25370746)
研究期間 2013年度~2015年度
研究代表者  谷 昭佳
研究目的 本研究では、幕末・明治初期の一八六〇年年代に日本に派遣された三つの外交使節団(一八六〇年プロイセン・オイレンブルグ使節・一八六三年スイス・アンベール使節・一八六九年オーストリア・ハンガリー帝国の特派使節)が収集した日本関係の古写真(写真史料)を中心に、写真史料の基軸標本となりうるコレクションの高精細デジタル画像の収集・撮影と解析による研究資源化を進めることを目的としている。
研究実績の概要
  • 2015年度
  • 2014年度
  • 2013年度
【2015年度】
研究最終年度の取り組みとし、以下の調査研究と成果の公表をおこなった。
①在外日本関係古写真の発展的調査研究
英仏所在日本関係古写真調査を実施した。調査先は、ロンドン大学・大英図書館(以上英国)、フランス写真アーカイヴズ・フランス国立図書館・コレージュ・ド・フランス日本学高等研究所ほか(以上仏国)。ロンドン大学(SOAS)では幕末期に来日したフランス士官の写真入り日記四〇二カットを撮影、大英図書館で日露戦争時の英国観戦武官アルバムなどを調査した。フランスでは新たに入手した情報を基に、コレージュ・ド・フランス日本学高等研究所において、明治初年に来日した軍事顧問団員の日本関係写真アルバム五一五カット(内三一カットは赤外)を撮影した。フランス写真アーカイヴズでは、幕末遣欧使節等の写真原板一一五枚の存在を確認し、うち予備調査的に五一カットを撮影した。
②国内外の基準標本となりうる古写真の補足的調査
前年度までにデジタル画像により蒐集し解析を進めている、スイス・アンベール使節・オーストリア・ハンガリー帝国の特派使節が持ち帰った古写真(写真史料)の補充調査を英墺瑞の三カ国へ出張しおこなった。
ヴィクトリア&アルバート博物館(ロンドン)では、一八六八年にベアトが発売したアルバムについて閲覧調査し、アンベールが帰国後に日本から新たに取り寄せた写真の同定をおこなった。
オーストリア国立図書館(ウィーン)では、ヴィルヘルム・ブルガーが持ち帰ったオリジナルの湿板写真ガラスネガについて閲覧調査し、制作者の特定につながる現像色や指紋痕などの詳細調査をおこなった。ウィーン応用美術博物館(MAK)では、日本関係工芸品プリントについて調査し、ブルガーが制作した工芸品のポートフォリオを新たに発見した。ボン大学パンツァー名誉教授らとともにミヒャエル・モーザー御子孫による世界周航記出版に協力するため、編集打ち合わせを著者であるアルフレッド・モーザー氏を交えておこなった。
ヌーシャテル民族学誌博物館(スイス)が刊行を予定しているアンベールコレクション写真史料集の刊行のため、同館学芸員のグレゴリー・マイヤー氏と編集打ち合わせをおこなった。国内にある関連史料調査として、江川文庫、横井小楠記念館、久留米市教育委員会、鍋島報效会微古館に出張し、幕末期に制作された湿板写真ガラス原板の調査撮影(八七カット)をおこなった。
③成果の公表
今年度の主な研究成果の公表は以下の通りである。
〔論考〕谷 昭佳「モーザー(Moser)コレクションについて(三)」『東京 大学史料編纂所附属画像史料解析センター通信』第七一号、二〇一五年一〇月/Toru HOYA; Le Role de la France dans la reforme de lʼarmee japonaise a la fin du Bakufu et au debut de la Restauration de Meiji,“Deux Ans au Japon, 1876-1878: Journal et Correspondance de Louis Kreitmann, Officier du Genie,” College de France, Institut des Hautes Etudes Japonaises, Paris, 2015.12/谷 昭佳「フェリーチェ・ベアトの幕末明治初期写真の年次比定」『画像史料解析センター通信』第七二号、二〇一六年一月
〔その他〕国立歴史民俗博物館で開催された日独修好一五〇年記念企画展示 「ドイツと日本を結ぶもの─日独修好一五〇年の歴史」に協力し、図録及びパネル展示用データを提供し、図録・展示解説を執筆した。/東京大学オープンキャンパス展示に、ブルガーとモーザーのコレクションからの古写真パネルを出展し協力した。
備考