東京大学史料編纂所

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研究種目名 基盤研究(C)
研究課題名 戊辰戦争史料の総合的研究(24520736)
研究期間 2012年度~2014年度
研究代表者 箱石 大
研究目的 本研究は、近世の幕藩制国家が近代の天皇制国家へと変貌を遂げた明治維新の全過程において、最も重要な転換点となった戊辰戦争の歴史的意義を解明するための基礎的かつ基盤的な研究上の方法論となる史料学の構築を目指し、①中央官庁のみならず各地に派遣された総督府の文書を含む維新政府文書、②戊辰戦争に参加した諸藩の文書、という最も基本的な史料群を研究の対象とするとともに、③従来未紹介であった海外所在の戊辰戦争関係史料をも収集・分析し、戊辰戦争研究のさらなる発展に寄与することを目的としている。
研究実績の概要
  • 2013年度
  • 2012年度
【2013年度】
①維新政府文書の収集・整理とその分析
 昨年度に引き続き、研究協力者石田七奈子氏の協力を得て、東京大学史料編纂所所蔵「復古記原史料」の整理・目録データ作成及びその分析を進めた。本年度は、作成済み目録データの修正を3848件、新規の目録データ作成を4742件完了させ、次年度中には新規作成・修正作業が完了した目録データから、「所蔵史料目録データベース」にて順次公開することが可能となった。なお、並行して史料の内容分析を進めた結果、「復古記原史料」は、主として維新政府の中央官庁に属する弁事という役職に蓄積された文書群で ある可能性が高くなった。
 一方、国立公文書館所蔵文書の調査により、同館所蔵の「雑種公文」の大半と、「記録材料」・「職務進退」・「上書建白」の一部が、元来は「復古記原史料」と一体のものであった可能性が高いことが判明した。また、防衛省防衛研究所戦史研究センター史料室所蔵の「軍務官雑」が、陸軍省旧蔵の記録簿冊の一部であり、戊辰戦争期における維新政府の中央軍事官庁に蓄積された記録原本であること、そして、現在は失われている記録簿冊の一部が、写本として東京大学史料編纂所や国立公文書館などに現存していることも、調査の結果判明した。
②戊辰戦争参加諸藩文書の収集とその分析
 本年度は、信州大学人文学部日本史研究室所蔵の「御用廻状留」・「御用廻状御書付留」という史料を調査・撮影した。これは、維新政府によって信州諸藩の触頭とされた松代藩真田家の京都在番藩士赤羽仙右衛門による戊辰戦争期の記録であり、触下の諸藩に対する政令伝達や官版日誌の交付状況が分かる貴重な史料である。
 このほかにも、現存する松代藩関係史料には、昨年度調査した加賀藩前田家史料と同様、旧藩大名家で行なわれた戊辰戦争関係の編纂事業に関する史料が豊富なうえ、戦争届書など戊辰戦争期の同時代史料も数多く残されていることを確認した。
③海外所在戊辰戦争関係史料の収集とその分析
 ドイツのベルリンにあるプロイセン枢密文書館・ドイツ外務省政治文書館・ベルリン国立図書館を訪問して所蔵史料情報の調査を行なったが、期待する戊辰戦争関係史料は発見できなかった。
 しかしながら、研究協力者のペーター・パンツァー氏と宮田奈々氏の協力を得て、オーストリアのウィーン楽友協会資料館に所蔵される戊辰戦争期のはやり唄「トコトンヤレ節」の楽譜を調査・収集した。これは、ハインリヒ・フォン・ボクレットがピアノによる演奏用に編曲した「ミヤサマ」という曲の楽譜で、1888(明治21)年に出版した楽譜集『日本民謡集』に収録されたものであり、同資料館にはヨハネス・ブラームス旧蔵本などを含む4冊が伝存している。今回は楽譜集に付属する関連史料も併せて調査し、デジタル画像で収集した。
 なお、本年度の発表論文等は次の通りである。
〔論文〕「戊辰戦争とプロイセン」(日独交流史編集委員会編『日独交流150年の軌跡』雄松堂書店、2013年10月)
備考