東京大学史料編纂所

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研究種目名 基盤研究(B)
研究課題名 十六~十七世紀の日本海地域における情報と大名(24320125)
研究期間 2012年度~2015年度
研究代表者 佐藤 孝之
研究目的 本研究は、主に日本海地域に所在した諸大名を取り上げ、十六世紀後半から十七世紀半ばにかけての時期を対象とし、中世から近世への移行期、換言すれば近世統一政権の成立から徳川政権(江戸幕府)の確立するまでの過程において、戦国大名から幕藩大名へと質的な変化を遂げた各地の大名が、いかに政治的〝中央〟との関係性を持ちながら、そうした変質を成し遂げたのか、政治的〝中央〟そのものの変化を視野に入れつつ解明することを目的とする。そして、分析・検討に当たっては、当該地域の大名家に伝来した史料の調査・蒐集を通じて、重大な政治的動向に対する各大名における情報収集の在り方、諸大名間における情報交換の在り方と、その変化に着目する。
このように、本研究では戦国大名から幕藩大名へと変質するなかで、諸大名家がいかに情報収集・管理のシステムを構築するのかを、①諸大名と朝廷・幕府関係者との交流、②諸大名間の交流、③大名家内部機構の機能、という個別の諸大名家がそれぞれ持つと考えられる情報収集・管理の回路に注目して解明し、その分析結果を比較対照し、日本海地域社会の中に位置づけることにより、当該期の日本海地域の政治的特質に迫ろうとするものである。
研究実績の概要
                
  • 2015年度
  • 2014年度
  • 2013年度
  • 2012年度
【2015年度】
二〇一五年度においては、①金沢市立玉川図書館近世史料館、②秋田県公文書館、③米沢市上杉博物館・同市立米沢図書館、④福井県立図書館、⑤津山郷土博物館、⑥和歌山県立文書館、⑦山口県立文書館等に赴き、史料の調査を実施し、撮影および複写等によって史料を収集した。
①では加越能文庫「先祖由緒幷一類附帳」、②では「元禄家伝文書」、③では米沢藩主上杉氏関係文書および同氏家臣千坂家文書等、④・⑤・⑥では越前北荘城主松平忠直事件関係史料、⑦では毛利家文庫「継立原書」などを、それぞれ調査した。なお、「先祖由緒幷一類附帳」は一万三〇〇〇点余すべてについての調査が終わり、必要部分の撮影を行なった。「元禄家伝文書」についても約五〇〇点のすべての撮影を終了した。
また、『梅津政景日記』のフルテキストデータベース化のための入力作業も、全巻の入力を終了した。
さらに、昨年度に引続き研究発表会を開いたが、最終年度に当たることから公開研究会「近世初期の大名と情報」を開催し、研究代表者・分担者による五本の研究報告を行なった。そして、この五本の報告をベースに、別途二本を加えた研究成果報告書『近世初期の大名と情報』(東京大学史料編纂所研究成果報告二〇一五─二)を刊行した。同報告書には、①黒嶋敏「関ヶ原合戦前後の奥羽大名と情報」、②佐藤孝之「加賀藩家臣団の形成過程と家臣の由緒─「先祖由緒幷一類附帳」を素材として─」、③小宮木代良「松平忠直隠居前後の越前支配について、④同「松平忠直事件にかかわる言説の変遷─福井藩・津山藩・幕府において─」、⑤金子拓「松平忠直の隠居と秋田藩─「越前御陣」の記憶─」、⑥同「秋田藩家老木場宣忠関係文書について」、⑦及川亘「将軍上洛供奉における萩・毛利藩の宿所について─「毛利家文庫」の未紹介史料─」を収録した。
これらの研究によって、日本海地域やこれに関係の深い諸大名を対象に、奥羽大名の関ヶ原後の情報獲得、加賀藩家臣団形成過程における情報ネットワーク、萩藩の幕府との交渉における人脈の在り方等が解明された。また、松平忠直事件という政治的重大事件をめぐり、福井藩・津山藩・秋田藩・幕府の動向が、一次史料を用いた事実究明と、家譜・系譜類にみる言説の変遷という両側面から解明され、幕府と藩、藩と藩の間の情報収集・交換の在り方等が明らかになった。
備考