東京大学史料編纂所

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研究種目名 基盤研究(A)
研究課題名 正倉院文書の多元的解析支援と広領域研究資源化(24242025)
研究期間 2012年度~2015年度
研究代表者 山口 英男
研究目的 正倉院文書研究は、一九八〇年代以降、写経所文書としての検討が進展したことで新たな活性化の局面を迎えた。日本古代史・奈良時代史に多くの新たな知見をもたらされ、正倉院文書が未抽出な歴史情報の宝庫であることがあらためて認識された。その一方で、正倉院文書の基礎的解析に要する多元的作業の複雑さ・膨大さ、一挙に高度化・精緻化した研究レベルをフォローすることの困難さが浮き彫りとなり、プロパーでない研究者にとっての近寄りにくさも生じている。こうした研究展開面での「踊り場」状況を脱するための推進力として、本研究は、正倉院文書に関する多元的解析支援システムを構築することで研究環境の効率化をはかり、連携的研究の核を形成し、正倉院文書全般にわたる基礎的解析を進展させるとともに、広領域での利用が容易な歴史情報データベースとしての性格を持たせることで、学術資源としての利用環境を飛躍的に改善させようとするものである。この目的のため、史料編纂所歴史情報処理システム上に「正倉院文書多元的解析支援・広領域研究資源化システム(SHOMUS)」を構築する。同システムは、多元的情報を断簡ごとに繋留するための「断簡情報基盤データベース(基盤DB)」を核に、各種の個別情報DB(画像・テキスト・接続・調査所見・研究内容等)と、解析支援・広領域資源化のためのサブシステム群(相互リンク・多元情報表示・断簡配列表示・短冊形式表示等)で構成する計画である。
研究実績の概要
                
  • 2015年度
  • 2014年度
  • 2013年度
  • 2012年度
【2015年度】
①システム開発関係
本研究課題の主たる目的となる正倉院文書マルチ支援システムSHOMUSの構築を進めた。プロトタイプでの検討を経て、二〇一三年度までに基本部分の構築を行って史料編纂所内での公開を実現し、二〇一四年度に入力校正システムを開発したのに引き続き、二〇一五年度には研究文献検索サブシステムを開発した。これは、正倉院文書の断簡や、『大日本古文書(編年文書)』の冊・頁から、その史料について言及のある研究文献を探索することを可能とし、研究環境の飛躍的向上を図るものである。
②データ生成関係
SHOMUSの基幹部分となる基盤DBについて、二〇一四年度に引き続き入力・整備・登録作業を進めた。正集・続修・続修後集・続修別集・塵芥・続々修・その他に類別される正倉院文書のうち、続々修第五~七帙について、作業をほぼ終了した(累計約一〇五〇〇件、三七〇〇断簡)。残る続々修第八~四七帙については暫定データの入力・整備を行った。また、基盤DBに付加するサブシステムとなる断簡釈文・画像情報・研究文献索引のデータを蓄積した(順に累計約四六〇〇件、一四五〇〇件、三〇七〇〇件)。
③断簡解析
上記②の作業を行うなかで、正倉院文書の断簡の基礎的解析作業を継続 し、続々修第八~一三帙の断簡解析をほぼ終了し、第一四~四七帙の暫定的 な断簡解析を実施した。
④研究連携
史料編纂所「電子くずし字字典DB」・奈良文化財研究所「木簡字典DB」と連携して正倉院文書の字形・字体データの生成を継続した(累計約一二五〇〇件)。
⑤成果公開等
二〇一五年七月に、正倉院文書マルチ支援(多元的解析支援)データベースSHOMUSの一般公開を開始した。 一〇月に正倉院文書研究会と共催で研究報告会を開催したほか、正倉院文書の及び断簡解析に関する研究成果を学会発表、学術誌・講座論文集掲載の形で公表するとともに、市民・学界向けの講演その他の情報発信を行った。
備考