東京大学史料編纂所

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研究種目名 若手研究(B)
研究課題名 入明記の史料学的研究に基づく日明関係における大内氏の位置の解明(20720167)
研究期間 2008年度~2011年度
研究代表者 須田 牧子
研究目的 本研究は、東アジア世界において通時代性・越境性を持つ中国礼制にもとづく儀礼に注目し、異なる地域・時代の事例の比較から、史料的限界を越えた歴史像の復原をめざし、同時に各々の文化的特徴の抽出を目的としている。
研究実績の概要
  • 2011年度
  • 2010年度
  • 2009年度
  • 2008年度
【2011年度】
今年度においては第一に、室町政権および大内氏の日明関係への関与の状況とその特質について、本研究で得られた知見をまとめることに努めた。その成果として下記の3本の論文を執筆した。
①「『蔭凉軒日録』─室町殿外交の舞台裏」(刊行済)、
②「大内氏の外交と室町政権」(刊行済)、
③「(邦題)遣明使節僧の中国体験」(2012年5月刊行予定、英文)。
①では室町殿の外交的特質を蔭凉軒に引き付けて論じ、②では大内氏の日明関係を室町政権 との関係を重視しながら概観、③は14─16世紀日明関係の概観をしたうえで、入明記を中心とした史料群の紹介とそこから読み取れる記主たちの異文化体験の特質を論じたもので、英語圏へ当該分野の紹介をも兼ねている。
第二に、「策彦入明記録及送行書画類」の史料群および関連史料のテキストデータ化を今年度も進め、「策彦入明記録及送行書画類」の史料群の八割程度および『異国出契』『嘉靖公牘集』などについてこれを完了した。
第三に、『謙斎南遊集』について『初渡集』『再渡集』との突合・検討を完了し、その成果の一部は③の論文に盛り込んだ。但し『策彦和尚詩集』との関係性についての検討は、詩集が大部なこともあってまだ半ばである。
第四に、宝徳度遣明船関連の記事を含んでいた15世紀半ばの貴族の日記の翻刻を今年も行ない、成果の一部を連名で発表した。
本研究は本年度をもって終了となるが、本研究で設定した「入明記を中心とした日明関係の史料学的検討」という課題は予想以上に豊饒な世界であり、継続して研究していけば、日明関係を中心とした中世後期外交関係をより深く理解することができるものと考える。
備考