東京大学史料編纂所

HOME > 編纂・研究・公開 > 共同研究 > 画像解析とフィールドワークに基づく荘園絵図情報システムの構築

研究種目名 基盤研究(A)
研究課題名 画像解析とフィールドワークに基づく荘園絵図情報システムの構築(20242012)
研究期間 2008年度~2011年度
研究代表者 高橋 敏子
研究目的 本研究は、東京大学史料編纂所が収集してきた約300点にのぼる荘園絵図の写真・精細画像・関連情報を基盤とし、先行する基盤研究「荘園絵図の史料学とデジタル画像解析の発展的研究」(代表者林譲2004〜2007年度)の成果を継続しながら次の発展的課題に取り組み、かつその成果の公開や研究支援のシステム構築方法についても研究しようとするものである。 その目的は、第1に、現在の荘園絵図の研究水準においては欠かすことのできない原本調査(画像解析)および現地調査(フィールドワーク)を実施し、絵図に表現された内容と作成意図の分析解読を行なうこと、そしてその成果を集約したトレース図(絵図の描写情報)と釈文(絵図の文字情報)を作成し両方を釈文図として統合すること、第2に、トレース図・釈文や集約した情報をデータベースとして公開するための、より高度かつ汎用的な荘園絵図情報システム構築方法の研究、および研究支援のための地名検索システム構築方法の研究を行うことである。
研究実績の概要
  • 2011年度
  • 2010年度
  • 2009年度
  • 2008年度
【2011年度】
1.荘園絵図に描かれた事物を確定し解釈を施しながら作成するトレース図については、担当の研究者と専門の日本画家による共同作業として「山城国乙訓郡勝龍寺近隣指図」以下7点を作成し、「大和国佐保新免田土帳一」以下13点の補正を行った。またトレース図に文字情報を付加した釈文図も作成して、2の調査結果を加え、研究成果のひとつとしての『日本荘園絵図聚影 釈文編二(中世編一)』の出版に備えたが、現在のところ刊行が少々遅延している。この課題については、引き続き取り組んでいく必要がある。
2.荘園絵図の原本調査については、「金澤文庫(「武蔵国鶴見寺尾郷絵図」「武蔵国称名寺絵図并結界記」)・大分県立歴史博物館(「豊前国野仲郷絵図」)・山口県文書館(「長門国正吉郷入江干潟絵図」)・八坂神社(「某所川成注文指図」「某所図(断簡)」)等の機関所蔵・寄託の絵図や、個人蔵「但馬国出石神社領神戸郷絵図」「丹波国吉富荘絵図」等について実施し、下書きの角筆線の存在など原本観察でなければ得られない情報を得ることができた。現地調査も、山城国松尾社近辺、但馬国出石神社近辺、丹波国吉富荘域等について実施した。
3.昨年度の繰越し分として「地理情報蓄積システム」を構築することができた。本システムは、史料編纂所のSHIPSデータベースシステムとAPIを介して連携しており、登録データにつき典拠情報ほかの各種メタデータを自動付与することが可能となっている。このシステムの開発により、既存の地名辞書の体系から独立した、より現実の史料に即した帰納的な地名情報の蓄積が可能となった。従来の地名辞書に位置づけられなかった地名を検出・蓄積することができると期待されるとともに、地名情報を必要とするさまざまな研究支援に応用できる発展的なシステムであると考えている。
4.本科研では「伯耆国東郷荘下地中分絵図」の調査に重点的に取り組んできたが、東郷荘の故地である鳥取県東伯郡湯梨浜町中央公民館において、2012年3月11日(日)に、「下地中分絵図の世界」と題した講演会を開催した(講師:西田友広、主催:湯梨浜町教育委員会・荘園絵図プロジェクト、共催:ゆりはま塾・橋津歴史塾・東郷歴史研究会・湯梨浜町文化団体協議会)。本講演会は湯梨浜町民が同町の歴史・文化を改めて学習する場として設定され、当日は幅広い年齢層から五八名の参加者を得た。詳細は『東京大学史料編纂所附属画像史料解析センター通信』57号(2012年4月)を参照されたい。
備考