研究課題/領域番号 |
19K13330
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研究種目 |
若手研究
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配分区分 | 基金 |
審査区分 |
小区分03020:日本史関連
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研究機関 | 東京大学 |
研究代表者 |
黒須 友里江 東京大学, 史料編纂所, 助教 (20781438)
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研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2024-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2022年度)
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配分額 *注記 |
2,600千円 (直接経費: 2,000千円、間接経費: 600千円)
2021年度: 780千円 (直接経費: 600千円、間接経費: 180千円)
2020年度: 910千円 (直接経費: 700千円、間接経費: 210千円)
2019年度: 910千円 (直接経費: 700千円、間接経費: 210千円)
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キーワード | 左経記 / 水左記 / 古記録 / 平安時代 / 春記 / 写本 / 日本史 / 摂関期 |
研究開始時の研究の概要 |
摂関政治と院政についてはその連続性がたびたび指摘されるが、両分野の研究状況の違いから、このことは院政期研究の立場から論じられることが多かった。しかし近年摂関期研究は大きく進展し、摂関政治と院政の連続性を摂関期研究の側から捉え直すべき段階に到達している。この課題へのアプローチとして本研究では移行期にあたる藤原頼通以降の摂関期を重点的に扱い、史料の調査・検討および政治構造についての研究を行う。
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研究実績の概要 |
本年度は、主に『左経記』に関する調査・分析の論文化をおこなった。 それに先立ち、前年度におこなえなかった宮内庁書陵部所蔵の9写本、静嘉堂文庫所蔵の1写本、天理大学附属天理図書館所蔵の2写本、神宮文庫所蔵の1写本の調査を完了した。 「史料紹介 佐藤道生氏所蔵『左経記』断簡」(『古文書研究』93号)では、当該断簡が『左経記』古写本の一つ「守屋本」の欠失部分の一部であることを指摘した。また、新写本には錯簡および脱文が存在しており、現在広く使用されている刊本『増補史料大成』の訂正が必要であることも指摘した。さらに古写本と新写本の関係について、守屋本は同じく古写本である九条本・谷森本と本来九条家所蔵の一具を成していたとされるが、比較的早く流出し新写本の祖本となった可能性が高いことを述べた。 「『左経記』諸写本に関する基礎的検討」(『東京大学史料編纂所研究紀要』33号)では、全国に現存する『左経記』新写本が内題・構成・体裁によって9群に分類できることを示し、あわせて48写本の書誌をまとめた。さらに、新写本どうしで内容に大きな違いはないものの、古写本の体裁を維持していると思われる一群が存在し、テキスト研究においてはまず参照すべき写本であることを指摘した。 『水左記』については、2021年度に引き続き若手研究「『水左記』註釈の作成による古代・中世移行期の研究」(課題番号20K13178)の研究会に参加し、校訂・註釈をおこなった。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
『左経記』に関しての研究結果を2本の論文として発表することができた。また、新型コロナウイルス感染症流行の中でも、オンライン会議システムの活用により『水左記』註釈の研究会にも定期的に出席することができた。
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今後の研究の推進方策 |
写真帳やインターネット上での画像閲覧、郵送での写真入手を含めた様々な手段で諸写本にアクセスし、『春記』『水左記』諸写本の全体像を明らかにすることを目指す。また、『左経記』『春記』『水左記』を活用した平安時代後期の政治構造に関する研究を進める。
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