東京大学史料編纂所

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研究種目名 若手研究(B)
研究課題名 日本中世の寺社と在地社会―地域社会における寺社の社会経済史的機能について―(19720161)
研究期間 2007年度~2010年度
研究代表者 及川 亘
研究目的 本研究は、南都とその周辺地域を主なフィールドとして、領主としての寺社と地域社会の関係を、単なる支配・被支配関係ではなく双方向に規定しあう相対化されたものと考えて、地域における人的ネットワークや生産関係の中で、寺社がどのように社会的な機能を果たすか検討することによって、寺社の地域社会における社会経済史的役割とその歴史的意義を考察し、中世における在地社会の社会構成の特質を解明することを目的とする。
研究実績の概要
  • 2010年度
  • 2009年度
  • 2008年度
  • 2007年度
【2010年度】
本年度は、主な研究対象としている薬師寺について、既刊の記録類から薬師寺関係の記事を抽出する作業を終え、未刊史料から薬師寺関係の文書・記録記事を収集する作業を行った。これにより中世薬師寺は、本寺である興福寺より派遣されて名目的な支配により得分のみを収取する別当の系列と、実際に現場にあって寺院を運営する寺家の系列から成り立っており、寺院全体が一つの経営体により機能しているわけではないことが明らかになった。これまで寺家を構成する財務部門(法会や用途ごとに自立した所領)ごとに検討を行い、それらの総体として寺院経営を理解しようとしていたが、さらに別当系列と寺家系列の関係性が新たな課題として浮かび上がった。
一方で、史料編纂所と奈良文化財研究所の薬師寺所蔵資料の調査に参加し、参加者の協力を得て、この間に新たに発見・整理された近世の算用帳簿類の元文二年までの分の撮影を行った。これは薬師寺が幕府から朱印地を与えられた慶長八年から江戸時代を通じて残されており、近世を通じて薬師寺の構成員を知ることができるとともに、特に近世初期のものは、中世から近世への薬師寺の寺家経営の変質を如実に物語るもので、今後詳細に分析しなければならない。
また、収集した未刊史料の中から、春日社司祐範による「春日社旧記抜書」から、元和九年の徳川秀忠・家光の南都見物の際の、興福寺・春日社を中心とした南都社会の対応について知ることができる個所を抜粋して翻刻紹介した。
備考