東京大学史料編纂所

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研究種目名 基盤研究(C)
研究課題名 家光政権期における寺社政策の基礎的研究(17K13525)
研究期間 2017年度~2019年度
研究代表者  林 晃弘
研究目的
研究実績の概要
  • 2017年度
【2017年度】
 中世には公家・武家とならぶ権門として国家権力の一角を担った寺社は、近世になると世俗政治世界における力をほとんど失う。かかる日本宗教史上における大きな転換は、一六世紀末~一七世紀前半、すなわち戦国時代から江戸時代はじめに生起した。
]  本課題は、上記の転換に大きな影響を与えた政治的要素を解明するものである。特に寺社の経済的基盤が、将軍を頂点とする知行体系に包摂されるという重要な事実に着目し、その達成となった三代将軍徳川家光政権期(一六三二~一六五一)に焦点をあて、寺社再編の基礎的研究を行う。
 当該年度は、家光政権前半の分析を重点的に進めるとともに、寺社に関する一七世紀の記録・古文書等の調査を行った。
 調査先は、東京都内の国会図書館、日本女子大学等のほか、科研費を使用したものとしては、京都大学総合博物館、龍谷大学大宮図書館、京都府立京都学・歴彩館、酬恩庵、成菩提院に赴いた。これ以外にも複数の寺社・史料所蔵機関において史料調査を実施し、現地調査・史料展示の実見も行っている。
 また、デジタル公開されている京都大学附属図書館「平松文庫」、本所による調査・撮影史料のうち「顕證記」(仁和寺所蔵)、「尊秀記」(薬師寺所蔵)、「徳勝寺旧記」および興福寺・東大寺に関係する近世前期の記録類について解読と分析を進めた。
 主な成果は以下のとおりである。①平野神社に関する記録「平野社再興記」(平松文庫)について、西洞院時慶の日記「時慶記」との関係を明らかにし、寛永年間における同社の再興過程を解明した。そのなかで、徳川家康による社領付与ののち、改めて家光により寛永一五年に社領が与えられることになる背景を示した。②成菩提院調査の成果としては、『天台談義所 成菩提院の歴史』の収録史料「末寺法流書物」について、徳川家綱の寛文印知と、それを契機に行われた天台宗の寺院調査に関するものであるという新知見を得ることができ、解題の内容を更新した。③「顕證記」について基礎的な分析を行い、年未詳記の作成年を確定し、また外題の年と内容年代が相違するものについて指摘した(この点は『東京大学史料編纂所所報』五二の史料採訪の項目に反映)。④家光政権期の寺社政策とも関連づけて論じられてきた京都の牢人政策についても、新出史料を紹介しつつ検討を加えた。その他、寺院史・神社史・自治体史等による朱印状発給状況の調査を進めた。
備考