東京大学史料編纂所

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研究種目名 基盤研究(A)
研究課題名 荘園絵図の史料学とデジタル画像解析の発展的研究(課題番号16202011)
研究期間 2004年度~2007年度
研究代表者 林譲
研究目的 本研究の拠点となる東京大学史料編纂所は、これまで、「荘園絵図の基礎的研究」(一九七一年度)や「現存古地図の歴史地理学的研究」 (一九七八〜八〇年度) に始まる荘園絵図研究を幾次にもわたって推進してきており、研究の確固たる基盤を形成してきた。そして、史料編纂所歴史情報処理コンピュータシステムSHIPSの構築と進化、及び解析的研究の開発を推進する附属施設画像史料解析センターの発足により、絵図・絵画のデジタル化を進展させ荘園絵図研究の最前線を担ってきた。それは、『日本荘園絵図衆影』全七冊の編纂・刊行を完了し、「東京大学史料編纂所所蔵荘園絵図模本データベース」を構築・公開するなどの諸成果に示されている。
これらを踏まえ、荘園絵図研究を次なる段階へと飛躍させることを目的とする本研究は、次の二点をその主要な研究の柱としている。
第一は、三〇〇点余を数える古代・中世荘園絵図の大半を対象として、それらを一体的に捉えて史料学的検討を徹底的に行い、荘園絵図史料学の確立を目指すものである。すなわち、まず均質的な調査環境のもとに、隣接諸学の研究者、日本画模写及び写真撮影の各専門家との協同作業として、絵図原本の精密な観察を行う。次いで、原本精査と赤外線写真・高精細デジタル画像の解析とを総合して様々な表現意図を確定する。そして、その成果を正確かつ精細な釈文とトレース図の完成に集約させる。以上の諸段階を踏み課題を実現する。 第二には、得られた研究成果を、どのようにすれば学界や社会共有の学術情報資源とすることが可能か、について検討する。研究をより高次の水準のものとするためには情報の共有を推進することが不可欠である。部分的に実現した上記「荘園絵図模本データベース」を踏まえて、日本史学や隣接諸学のみならず、社会教育・学校教育にも共有・共用できる、高度にして簡便な知的興味を刺激する「荘園絵図総合データベース」の構築と公開を推進していくことを課題とするものである。
研究実績の概要

  • 2007年度
  • 2006年度
  •             
  • 2005年度
  •             
  • 2004年度
研究期間内に、以下の実績をあげた。
1、古代・中世荘園絵図原本のうち、各地の所蔵機関・教育委員会等と連携し、四件六点を、調書等に基づき調査し、連動して現地調査を行った。
2、写真専門家等と協働しながら、光学的機器等を利用した調査方法・観察記録の基準について見直し、提案した。
3、「伯耆国河村郡東郷荘下地中分絵図」に関して、分析に有効な村絵図等の調査・GPS装置を利用した現地調査などを継続的・精力的に進めた。 4、その成果を集約した「東郷荘総合情報閲覧システム」をDVDとして制作し配布した。
5、同システムについて、鳥取県・湯梨浜町と共催した講演会の主催、県内の高校・大学における授業参加、教材用TV番組の収録・放映など、各種の社会教育・学校教育の場で積極的に実践し、新聞・TV報道など大きな反響を得た。
6、荘園絵図の表現研究には、トレース図・釈文図の研究・作成・蓄積が決定的に重要であるとの認識に基づき、日本画模写専門家等と緊密な協働作業を行い、トレース図58点・釈文図65点を完成させた。
7、3次元空間情報表示システムを利用した「東京大学史料編纂所所蔵荘園絵図模本データベース」の改良を行い、地図情報機能を新たに追加し、諸情報のデータを再検討しながら、その対象を拡大した。
8、古代荘園絵図ワークショップ2回、中世荘園絵図ワークショップ3回を、それぞれ東京大学史料編纂所荘園絵図プロジェクトと共催し、研究代表者・研究分担者が、これまでの成果と今後の課題について総括し、参加者と討議を重ね研究を深めた。
9、紙媒体の公開方法を『日本荘園絵図聚影』釈文編1古代の編纂・出版(2007年9月、東京大学出版会)に集約した。
10、以上を含めた具体的な研究成果を、研究成果報告書にまとめ刊行した(2008年3月)。
備考