東京大学史料編纂所

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研究種目名 基盤研究(B)
研究課題名 朱印船のアジア史的研究:一六~一七世紀、日本往来の「国書」と外交使節(15H03236)
研究期間 2015年度~2018年度
研究代表者  松方 冬子
研究目的 本研究は、一六~一七世紀のシナ海域における外交の標準的なあり方として「国書」外交が想定できるのではないか、との仮説のもと、諸事例の比較を行っている。「国書」の概念化はまだ途上であるが、本研究が注目するのは、(外交官ではなく)「手紙」が重きをなす外交においては途中の(使節自身や媒介者による)操作の可能性が大きく、その操作により、送り手・受け手双方が持っている自己中心的な世界観を両立させつつ関係を維持することが可能であったという側面である。また、東アジアでは、「国書」に用いる言語(漢文)が送り手と受け手で共有され、また、「国書」外交が通航管理と密接に結びついて運用されてきた結果、「華夷秩序」が強固にあるように見えていた、との見通しを得ている。
東南アジア大陸部では、一七~一九世紀に「王の書翰」(タイ語で「プララーチャサーン」、クメール語で「プレアリエチサー」)を送っていた痕跡が見られる。日本や中国から「朱印船貿易」「華夷秩序」等として見られていたものが、東南アジア側から見れば独自の慣習に基づいた行為であったとみることが可能である。
研究実績の概要
  • 2017年度
  • 2016年度
  • 2015年度
【2017年度】
 二〇一七年度は、国書・通航証(パス)についての研究を進め、東アジア・東南アジア海域を中心としつつも、前近代のユーラシア全域に、ある程度適用可能なものとしての「国書外交」とその周辺にあった通航証(パス)についてのイメージを得た。その成果は、論文集『国書がむすぶ外交(仮)』として刊行する予定である。
 ○二〇一七年六月二〇日~二三日に、木村、橋本、松方の三名が、大野晃嗣氏(東北大学准教授)とともに、対馬巡検を行い、現地在住の研究者とも交流を行った。
 ○七月二七日~二九日に、明治大学駿河台キャンパスにおいて成果となる論文集のための準備報告会を開催した。併せて、東京国立博物館「タイ展」で相国寺所蔵の朱印状原本も見学した。
 ○国書一覧表、朱印船関連地図についての検討を行った。
 ○二〇一七年八月三日~九月二五日松方がオランダに出張し、ライデン大学LIAS/LUCSoR Visiting Scholarとして研究を行った。滞在中九月八日にLeiden Lecture Series in Japanese Studies講演“Towards a Transcultural History of Diplomacy”を行った。
 ○ リスボンで開催されたEAJS(European Association for Japanese Studies)第一五回大会において、岡本、彭、松方が、Birgit Tremml-Werner氏とともに、パネル報告を行った。パネルと報告のタイトルは下記の通り。
 “Passes for Trade: Diplomatic History of Medieval/Early Modern Japan in a Global Perspective”
 ・Fuyuko Matsukata, “Introduction for ‘Passes for Trade’”
 ・Makoto Okamoto, “The Flexibility of the Tally System between Muromachi Japan and Ming China”
 ・Birgit Tremml-Werner, “The various uses of trading passes between Japan and the Philippines, 1590-1620”
 ・Hao Peng, “Shinpai: the Trading Pass in Early Modern Sino-Japanese Trade”
 ○二〇一八年一月二三日、二月二八日にイタリア外交史と東アジア国際関係史についての読書会を行った。扱った本は、次の二冊である。
 Isabella Lazzarini, Communication & Conflict: Italian Diplomacy in the Early Renaissance, 1350-1520, Oxford University Press, 2015.
David Kang, East Asia before the West: Five Centuries of Trade and Tribute, New York: Columbia University Press, 2010.
 ○二〇一八年二月一一日~一二日、松方が中津・大分に出張し、大江医家資料館、村上医家資料館の展示を見学し、大分県立芸術文化短期大学教授・疇谷憲洋氏と研究打ち合わせを行った。
 ○リスボンのトルレ・ド・トンボ文書館所蔵モンスーン文書のうち、一六四七年のポルトガルの来日使節に関する史料を外注で翻訳した。
 ○なお、本研究は鹿島学術執行財団研究助成による研究「朱印船のアジア史的研究」と連動して活動している。同研究も含めた、活動の全貌については、下記のサイトを参照されたい。
 http://www.hi.u-tokyo.ac.jp/personal/fuyuko/kaken/shuinsen.html  
備考