東京大学史料編纂所

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研究種目名 基盤研究(B)(2)
研究課題名 東寺における寺院統括組織に関する史料の収集とその総合的研究(課題番号14310153)
研究期間 平成14年度~平成16年度
研究代表者 高橋敏子
研究実績の概要

  • 2004年度
  •     
  • 2003年度
  •   
  • 2002年度
①研究の目的
東寺に関しては、中世の東寺供僧・学衆という寺僧集団の組織の下に集積・保管されてきた「東寺文書」「末寺百合文書」「敦王護国寺文書」などの三万点を超える膨大な文書群がある。これらの文書群については、それぞれの所蔵者等による目録作成・翻刻出版・写真頒布、あるいは富田正弘氏 (富山大学) を代表者とするグループや史料編纂所によるデータベース化によって、近年研究環境が格段に整ってきており、史料学的研究や寺院組織の研究も進展してきている。
けれども、こうした寺僧集団とともに東寺を構成していた長者(僧綱別当)・凡僧別当・執行といった末寺全体を統括する組織については、それらに関わる史料の残存形態が先の文書群とは大きく異なっているため、その総体的把握と史料学的研究はこれまで進んでいるとはい難い状況にある。
そこで、この研究では、「末寺百合文書」 に代表される文書群とは異なった、末寺の総体を統括していた組織に関する史料の収集とそれらの基礎的な史料学的検討を行う。この検討によって史料の基本的な性格が確定し、学術的利用への適切な見通しが得られる。その上で寺院統括組織の実態と機能について解明することを目指す。
②今年度の実績
本年度は、京都国立博物館所蔵の「阿刀家伝世資料」等収集した諸史料の史料学的分析を進めた。さらにいまだ研究途上ではあるが、末寺執行をはじめとする組織の機能分析への手がかりも得ることができた。
イ.「東寺文書」「束寺百合文書」「教王護国寺文書」「東寺観智院金剛蔵聖教・文書」そして影写本「阿刀文書」など、これまで利用されてきた東寺関係史科に「阿刀家伝世資料」を加えて分析することによって、平安時代から近世初期に至るまでの東寺執行職の相伝と相論に関する基礎的な史料を整備し、系譜を明らかにした。また執行の職掌についても分析を進めた。
ロ.「阿刀家伝世資料」中の特定資料に注目することによって、現在京博所蔵のこの文書群及びそのもととなった旧末寺執行家の 「針小路文庫」そのものの伝来・構成について考察を行った。
ハ.東寺に伝来してきた複数の過去帳の諸本について史料学的検討を行い、それらの性格を確定した。これによって、従来その記載事項のみを部分的に取り上げるだけだった過去帳の、利用の基礎となるべき史料学的視点が整ったといえる。同様にして、末寺と関係の深い醍醐寺の過去帳分析も行った。
ニ.宮内庁書陵部所蔵史料の調査を行い、これまでの収集史料の分析と併せて、長者補任諸本の系統や書写に関する見通しを得た。
ホ.東寺凡個別当に関する史料には、凡僧別当引付があるが、その職掌に関連したその他の様々な関連史料を見出すことができた。「寺誌」「法会記」等々である。これらの分析は今後の課題である。
なお、この研究は今年度をもって終了するが、三年間の研究成果については、報告書を参照していただきたい。
備考