東京大学史料編纂所

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研究種目名 基盤研究(A)
研究課題名 禁裏・宮家・公家文庫収蔵古典箱のデジタル化による日銀学的研究(課題番号14201032)
研究期間 平成14年度~平成17年度
研究代表者 田島 公
研究実績の概要

  • 2005年度
  • 2004年度
  • 2003年度
  • 2002年度
 (1) 研究の日的
本研究は、前回の科研(一九九八年度〜二〇〇〇年度科研基盤研究囲佃「東山御文庫を中心とした禁裏本および禁裏文庫の総合的研究」〔詳細は二〇〇一年三月刊行の同科研研究成果報告書及び『東京大学史料編纂所報』三四号〜三六号所収の報告、田島公編『禁裏・公家文庫研究』第1輯〔思文閣出版二〇〇三年二月〕の「あとがき」を参照〕)で扱った東山御文庫本を中心とした禁裏文庫の研究を発展させ、研究対象を相互に交渉し合う宮家・公家文庫まで広げ、蔵書目録を利用し、文庫の形成・成立と蔵書の増減の諸相(収書や火災・朽損等による各文庫の変遷)を歴史的に解明しながら、中近世の禁裏文庫と近代に解体した宮家・公家諸階層の文庫の歴史や旧蔵形態をトータルに復元し、日本における古典籍の「日録学」の確立を目的とする。特に蔵書日録と密接に連動した禁裏本系諸本のデジタル化(cDIROM化)を行い、中近世の禁裏・宮家・公家文庫収蔵古典籍の個別研究を飛躍的に進展させるための基礎データの提示、古代・中世以来の公家文化や知識体系の継承過程の解明を目指す。
(2) 研究実績の概要
四年計画である本科研は、最終年度をむかえ、研究目的の遂行と、研究のと-まとめを行い、以下の研究成果を得た。
①宮内庁侍従職と書陵部の許可を得て作成した東山御文庫本と伏見宮家春のCD-ROMを更に使い易くするために、CD-ROM収録のTIFF形式画像ファイルの内、画像ファイル(TIFF番号)とEXceIで作成した1画像ごとの内容日録を連関させ、個々の画像にジャンプ出来るHTML形式のデジタル目録のシステムを開発し、学術研究支援月によ-史書・日記・漠東京大学史料編纂所報第41号2006年10月(128)詩文集・和歌・説話集・古文書など御文庫本の様々な史料の-コマ毎の画像日録をExceIで表を作成し、表と画像をリンクさせるとともに、サンプルとして、東山御文庫本『洞院家記』(勅封18011-1)などの1画像毎のデジタル画像日録を作成した。
②整理が終了した全ての宮内庁書陵部所蔵伏見宮本の「日録(宿)」を完成するとともに、二〇〇〇年度以降に新たに撮影・公開された東山御文庫本マイクロフィルム目録の補遺を作成した。更にその目録をもとに、東山御文庫本マイクロフィルムの増補部分に関しては、宮内庁侍従職の許可を得て二〇〇三年度までの分をデジタル化(CD-ROM化)した。
③共に高松宮家旧蔵で、東京大学史料編某所所蔵及び国立歴史民俗博物館所蔵の『御湯殿上日記』を調査・検討し、両者の関係を含め、『御湯殿上日記』の伝来を解明した。
④古代から近世までの天皇家ゆかりの文庫・宝蔵の歴史や収蔵日録の性格について解明し、特に後白河院以降の蓮華王院宝蔵、後花園天皇期の禁裏文庫、甘露寺親長の書写活動と中世の禁裏文庫との関係、後光明天皇期の禁裏文庫、などについて新知見を得た。
⑤宮内庁侍従職の許可を得て、秋の曝涼期間に京都御所東山御文庫の調査を行うなど、禁裏・宮家・公家文庫収蔵史料の調査・個別研究を行った。特に東山御文庫本「地下文書」(勅封二三-六)・『抗日本復紀』(勅封七三-二〜顔)・『周易抄』(勅封一一五1 二)・「鴨社文書」(勅封二一二∵ 『斎王記』(勅封一六二-七)、高松宮家本『伏見殿文庫記録日録』・『走龍郷記安元御賀記』、九条家本『延書式』・『官奏抄』、西尾市岩瀬文庫所蔵柳原家本『官本目録』などについて,詳細な検討・史料紹介(翻刻)などを行った。
⑥期間中に発表された研究業績は以下の通りだが、まず上記の科研報告書『禁裏・宮家・公家文庫収蔵古典籍のデジタル化による日録学的研究』(二一〇〇六年三月)及び『禁裏・公家文庫研究』第二輯(思文閣出版二〇〇六年三月)所収の鹿考などを示すと以下の通り(科研関係者のみ)。
『禁裏・宮家・公家文庫収蔵古典籍のデジタル化による目録学的研究』
田島公「中世蔵書目録管見」
田島公「西尾市岩瀬文庫所蔵『官本日録』」
末柄豊「東山御文庫所蔵『鴨社文書』」
松澤克行「後光明天皇期における禁裏文庫」
松澤克行「京都大学附属図書館所蔵『芥記』」
月本雅幸「九条家本延書式の古訓点について」
小倉慈司「宮内庁書陵部所蔵伏見宮本目録(稿)」
石田実洋「甘露寺親長音写本・所持本一覧(稿)―甘露寺親長の書写活動と禁裏文庫―」 小倉真紀子「東山御文庫本『続日本後紀』と高松宮本六国史-書写・伝来の背景についてー」
桃崎有一郎「京都御所東山御文庫本デジタル画像総目録HTML版の試作」
桃崎有一郎「『復円融院展記』永徳元年・二年.四年記-翻刻・解題と後花園朝の禁裏文庫について-」『禁裏・公家文庫研究』第二輯
田島公「中世天皇家の文庫・宝蔵の変遷-蔵書目録の紹介と収蔵品の行方I」
吉田早苗「『中右記部類』年次目録」
藤原重雄「高松宮家旧蔵『定能卿記』(安元御賀記)」(三島暁子氏と共著)
小川剛生「宮内庁書陵部蔵『叙位儀次第』(管見記第五軸)紙背文書について」
飯倉春武「東山御文庫架蔵「地下文書」の性格-天皇と下級廷臣の世界-」
小倉慈司「東山御文庫本マイクロフィルム内容目録(稿)(2)」
石田実洋「九条本『官奏抄』の基礎的考察」
詫間直樹「高松宮家旧蔵『伏見殿文庫記録目録』について」
【その他の研究論文・史料紹介・翻刻など】
田島公「「東人の荷前」(「東国の調」)と「科野屯倉」-十巻本『伊呂波字類抄』所引「善光寺古縁起」の再検討を通して-」吉村武彦編『律令制国家と古代社会の研究』、塙書房、二〇〇五年五月)
田島公「土御門家(村上源氏)の断絶と相伝記録(日記)等の行方-東山御文庫蔵「大徳寺文書」所収「土御門有通過逃勅許申状案」の紹介と検討-」(『季刊ぐんしょ』再刊六九号ー二〇〇五年七月)(129) 史料研究
田島公「禁裏文庫周辺の『古事談』と『古事談』逸文」(『新日本古典文学大系月報』lOO 〔第四l巻(古事談・続古事談)附録〕、岩波書店、二〇〇五年一一月)
田島公「『禁裡御蔵書目錨』の影印本と原本- 『大東急記念文庫善本叢刊書目集』を例に-」(『汲古』四八号、二〇〇五年二一月)
田島公「大陸・半島との往来」(上原真人・白石太一郎・吉川真司・吉村武彦編『列島の古代史』四人と物の移動、岩波書店二〇〇五年二一月)
田島公「(展示批評)企画展示「うたのちから-和歌の時代史-」」(『歴博』二二五号、二〇〇六年三月)
田島公・松揮克行「お湯殿の上の日記(高松宮家本) 六十二冊」(『東京大学史料編纂所の国宝・重文名品展』二〇〇五年一一月)
山口和夫「康道公記」・「綱平公記」(『東京大学史料編纂所の国宝・重文名品展』、二〇〇五年11月)
藤原重雄「『兼仲卿記』紙背文書の墨映・覚書」(『季刊ぐんしょ』再刊七二号、二〇〇六年一月)
藤原重雄「「本税門・新税門図序文」について-九条殿・字賀壕・藻草祭をめぐる説話と歴史-」(『来し四九号、二〇〇六年三月)
藤原重雄「東京大学史料編纂所所蔵『台記』仁平三年冬記」(『東京大学史料編纂所研究紀要』一六号、二〇〇六年三月(尾上陽介氏との共著) 稲田奈津子「文書を焼-」(義江彰夫編『古代中世の社会変動と宗教』、吉川弘文館、二〇〇五年一二月)
月本雅章「表語文字から表音文字へ」(『朝倉日本語講座』二文字・書記、 朝倉書店、二〇〇五年四月)
月本雅幸「古語拾遺の古訓点について-その年代性をめぐって-」(『日本学・敦燈学・漢文訓読の新展開』、渡古書院、二〇〇五年五月)
吉岡真之「古代の逸書」(沖森卓也編『文字と古代日本」五文字表現の獲得二〇〇六年二月)
吉岡真之「尊経閣文庫所蔵『政事要略』解説」(前田背徳会尊経閣文庫編『尊経閣善本影印集成三六政事要略』、八木書店、二〇〇六年年二月)
吉岡最之「古代の辞書」(上原真人・白石太一郎・吉川真司・吉村武彦編『列島の古代史』六言語と文字、岩波書店二〇〇六年三月)
小倉慈司「東山御文庫本『斎王記』について」(義江彰夫編『古代中世の史料と文学』、吉川弘文館、二〇〇五年一二月)
石田実洋「『除目初学抄』(所謂『蝉鼻翼抄』)の基礎的考察」(義江彰夫編『古代中世の史料と文学』、吉川弘文館、二〇〇五年二一月)
【研究発表会】二〇〇五年二一月一四日(水) 於東京大学史料編纂所大会議室参加者二三名(科研・基盤研究(A)「画像史料解析による前近代日本の儀式構造の空間構成と時間的遷移に関する研究」〔研究代表者‥加藤友康〕・国立歴史民俗博物館共同研究「高松宮家伝来禁裏本の基礎研究」〔研究代表者‥吉岡畳之〕との合同研究会)
桃崎有一郎「京都御所東山御文庫本デジタル画像総目録HTML版の試作」
加藤友康「鷹司本年中行事絵巻の撮影二アジタル化と調査・研究の課題」
石田実洋「除目書に関する若干の考察」
【講演・口頭報告】
田島公「天皇家ゆか-の文庫・宝蔵の「目録学的研究」の成果と課題」(説話文学会主催二〇〇五年説話文学会名古屋大会シンポジウム「経蔵と文庫の世界I 「切経・宝蔵・聖教-」於名古屋大学、二〇〇五年六月)
月本雅章「日本訓点語学の諸問題- 比較訓読を中心にI」(口訣学会第三回 国際学術会議研究講演於ソウル市立大学、第1回韓日言語史学会学術発表 会招請講演於誠信女子大学校(ソウル)、二〇〇五年九月)
月本雅幸「九条家本延書式の古訓点について」(第九三回訓点語学会研究発表会、於仙台市戟災復興記念館、二〇〇五年二月)
【主な調査】
京都御所東山御文庫(二〇〇五年二月)、東京国立博物館(二〇〇五年六月・一〇月)、阪本龍門文庫(二〇〇五年七月)、西尾市岩瀬文庫(二〇〇六年二月・三月)他。
備考