東京大学史料編纂所

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研究種目名 基盤研究(A)
研究課題名 禅宗寺院文書の古文書学的研究(課題番号14201031)
研究期間 平成14年度~平成16年度
研究代表者 保立道久
研究実績の概要

  • 2004年度
  •     
  • 2003年度
  •   
  • 2002年度
(1) 研究の目的
禅宗史研究は、近年大きく進展した寺院史料研究の動向の中で、やや孤立した状況におかれている。その一因として禅宗寺院文書の古文書学的研究の遅れが存在することにかんがみ、本研究は、第一に、古文書学の基本問題である禅宗寺院古文書の類型と発給形態の解明を目的としている。そのために、大徳寺文書・魔王院文書・『蔭涼軒日録』 などのデータベースを作成し、さらに文書の機能論や禅院組織論の解明につなげたい。第二の目的は、室町時代古文書の原本を素材として、文書の物的な素材・形態論を研究することである。とくに料紙紙質の分析情報を蓄積したい。これらを通じて、室町時代の国家・社会と禅宗の研究の確実な基礎を形成したい。
(2) 研究の実績
本年度(最終年度)は大徳寺文書の原本調査の完遂と原本返却を第一の課題とし、大徳寺文書の全詳細日録(報告書付録、五九〇頁)を完成し、紙質調査におよぶ詳細な原本調査力ードの作成を終了した。さらに東京大学農学部磯貝明教授、江前敏晴助教授の協力をえて、二〇〇枚をこえる透過光画像を素材としてフーリエ変換画像解析による費目本数計算を行ったこと、繊維顕微鏡画像を採取し澱粉など不純物の定量分析の方法を検討できたこと、それらにもとづく料紙分類論を展開できたことなどは特筆したい。また、大徳寺の重宝蔵保管文書についても、大徳寺に出張し末撮影のままになっていた軸物・頂相・冊子をふくむ諸文書を調査・撮影し、さらに必要なものについては赤外線画像などを撮影した。その際、透過光画像によって軸装文書の裏打ち面の情報を読みとったことも収穫であった。本年三月に大徳寺文書が重要文化財に指定されたことも報告しておきたい。
次に、国際シンポジウム 「禅宗史研究の諸課題と古文書」 では欧米の代表的な禅宗史研究者、マーニアイン・コルカツト(プリンストン大学教授)、ウィリー・ヴアンデヴアーレ (ルーヴアン大学教授)をまじえた有益な議論を組織することができた。その内容については報告書を参照されたいが、禅宗史研究という点で、本科研の当初の目的であった室町期国家の禅宗国家というべき様相についても、充実した報告をえることができた。
備考