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入来院家文書について

 入来院家文書は、薩摩国入来院の地頭入来院家に伝来した文書です。入来院氏は元来は

相模国渋谷庄の地頭であり渋谷氏を称していましたが、 1247 年、渋谷定心が宝治合戦に

おける勲功により恩賞として入来院を与えられ、その子孫が入来院に移住し、家名も入来

院を称するようになりました。

  1929 年、アメリカのエール大学教授であった朝河貫一によって入来院家文書および関

係文書の英訳が刊行されたことによって、入来院家文書は日本封建制研究の根本史料とし

て世界的に有名になりました。朝河の著書The Documents of Irikiは、単に古文書を英

訳したにとどまらず、詳細な注釈のかたちで日欧封建制比較を試みた意欲的なものでした。

 朝河は 1948 年にアメリカでなくなりましたが、その偉業を顕彰するために朝河貫一遺

著刊行会が組織され、The Documents of Irikiの復刊が企画されました。その際に古文書

釈文については原文書にあたって全面的に改訂されることになりました。その作業を行う

ために入来院家より東京大学史料編纂所に古文書原本が搬送されましたが、その後正式に

購入の手続きがとられ、史料編纂所において大切に保管されることになったのです。

 いま史料編纂所は、新しい技術インターネットによって、入来院家文書をあらためて世

界に向けて発信したいと考えています。史料編纂所が保管する原文書の画像、佐藤進一氏

を中心とするスタッフによって全面的に改訂された古文書釈文、そして朝河の労作である

英文テキストの注釈、これらを使いやすいかたちで提供することを意図しています。なお

The Documents of Irikiの新訂版(1957年)を刊行した日本学術振興会からは、古文書

の釈文および朝河による英訳をインターネット公開することについて快く了解していただ

きました。厚くお礼申し上げます。

 なお入来院家文書の画像データは、このホームページによるほかに、所蔵史料目録デー

タベースおよび古文書目録データベースから表示させることも可能ですので、あわせてご

案内いたします。


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