[画 像] [英文-#13]
#80(原本8−5)
八〇 渋谷定心置文
○コノ文書、紙継目裏毎ニ定心ノ花押アリ、
「おきふミ」
三郎 四郎 五郎 二郎三郎 譲状他筆也、(花押)
「定置 公事并付諸事子息等可存知子細状
一公事田数事
河会郷本田数参拾壱町弐段配分也、
P42
一三郎分拾七町河会 又大類分玖町 加打毛地利壱三〃町
但、公事定田玖拾〃町
一四郎分弐丁参段河会 大功田拾町肆段
但、公事定田四丁参段
一五郎分肆町河会
但、公事定田壱町陸段
一二郎三郎分七町五段河会 北打毛地利六参〃丁
但、公事定田肆参〃丁五段
(紙継目)
已上田数者五十六丁六段
但、自故入道殿所宛給公事田数拾玖丁四段也、依之色〃公事等、
以此田数、年来所勤来也、然者、検宛彼田数定之畢、
(紙継目)
一京都大番事、子息等四人か公事の田数分限ニしたかひてつとむへし、
一鎌倉御神事の時とねりをいたしたつる事、一向ニ三郎かいとなみにて
あるへし、
一鎌倉より人夫をめさるゝ時、うちもちり・ふかや・ふちこゝろやしきた
はたけのほとをハからひてあつへし、人夫あまたあたらん時ハ、女子
のふんにもさたすへし、三度ニ二とハうちもちりよりまいらすへし、
一大ゆかの番ハ、五ニ二をハ三郎つとむへし、いま三をハ三人してつとむ
へし、おちあひの殿ハらよりあふ事也、
一大庭御まきをひかん時ハ、ふかや・ふち心のさいけニしたかひて、一
人もらさす百文のせにをはからひあてゝ、おちあひ・しもふかやの二百
文のせにゝくして、三百文にて人夫のいとまをハうけとゝむるなり、
そのむねを存すへし、
一五所宮御まつりの時もしハ御すりのあらん時ハ、せんれいをたつね
て、ほとにしたかひてそのやくをつとむへし、たいかんすへからす、
一かまくらのやちハ三郎ニとらす、たゝし、ゐこんなからんをとゝにハす
くせさすへし、他人をハやとせとも、をとゝにハかさぬ事多くミると
ころ也、をやのめいをそむく事也、きひしくせいしせハ上に申すへし、
一下人らのあひたの事、かねて申つけ了、又せけむのくそくせうせうあ
らんをハ、こけあまニ申あハせてそのはからひにしたかうへし、
一女子ニゆつるさいけ田畠ハ、件女子はうニすきたるふたうあらん時ハ、
(紙継目)
子息よりあひてこの事ハ一定かとよくよくたつねて、もし一定ならハ
件やしきを上まて申さすとん、おしとりて子息等はいふんしてしるへ
し、件女子のこなんとにとらする事あるへからす、
一子息等中ニいかなる事ありとん、よるましき人のもとへより、はちを
かへりミすふるまう事あらハ、のこりの兄弟同心ニなりて、件やしき
をハ、上まて申さすとん、はいふんしてしるへし、
一をやのためにほうこうありて、心さしあらんものを、おや死去之の
ち、いつしかとかをいゐつけて、さんさんとあたる事、ゆめゆめある
ましき事也、
一をやのために仏事するよしいゐて、そのようとれうニ、とかなからん
人をせめてものをとりて、仏事する事あるへからす、くとくニならぬ
事也、
一子息同まこらか中ニ、やしきなんとをはくやうニもうちいれてしまとう
P43
事あらハ、おのおのよりあひて、一とハひきたすけ、いまよりのち
にハさる事候ましと、きしやうをかゝせてをくへし、なほその心あり
てくるう事あらハ、そのやしきをハ、をやの申たる事なれハとて、を
のをのわけてしるへし、
右、このうへにハさのミ申へきやうなし、この状をハ上下万人ひか事と
ハ候ましき也、一事といふとんゆめゆめたかふへからす、あなかしこ、
寛元三年乙巳五月十一日
僧(花押)