[画 像]  [英文-#17]

#56(原本6−1
 五六 渋谷定心置文案
      ○コノ文書、前出第五三号ニ同文ノ案文(但、前欠)ヲ収メタ
      リ、字句ニ若干ノ異同アリ、宜シク彼此参看スベシ、
定心大庭帳」
 定置 就于公事并諸事可存知子息等子細状
一公事田数事
  御公事本田十九町肆段、雖為伊勢大類之分、相具今所領、令配分畢、
   十町四段  大功田
   九町    大類
   参十壱町弐段河会
   七拾五町  入来
   陸町    打
  已上百参拾壱町陸段
  以之勘定拾九町肆段
三郎
   九町 大類    十七町四段 河会
   参町 打    十捌町七段半 入来
   但、公事定田七町四段
四郎
   十町四段 大功田 弐町参段河会
P20
   十捌町七段半 入来
   但、公事定田肆町七段半
五郎
   肆町 河会    十捌町七段半 入来
   但、公事定田参町
次郎三郎分
   七町五段 河会    参町 打
   十町四段大三十歩 入来
   但、公事定田参町壱段
一六郎次郎分
   捌町弐段大三十歩入来
   但、公事定田壱町弐段
あら六分
   弐町入来公田也、但、除十九町四段御公事田数定也、
右、各随此田数、色〃御公事・京都大番、可令勤仕也、
一於領家国司両方御公事者、以入来院七拾五町田数、可令勤仕也、
一子息等中自此所領得替事出来者、勘合残田数、就于得田、於三郎明重
之沙汰、御公事可令支配、於得替所者、不可勤者也、
一鎌倉御神事之時、舎人出立事、一向ニ三郎かいとなみにてあるへし、
一鎌倉より人夫をめさるゝ時、うちもちり・ふかや・ふちこゝろやしき
たはたけのほとをハからひてあつへし、人夫あまたあたらん時ハ、女
房のふんニもさたすへし、三度ニ二度ハうちもちりよりあひまいらす
へし、
一大ゆかの番ハ、五ニ二をハ三らうつとむへし、いま三をハ三人してつ
とむへし、
 おちあいの殿ハらよりあふ事也、
一大庭御まきをひかん時ハ、ふかや・ふち心のさいけニしたかひて、一
人もらさす百文のせにをハからひあてゝ、をちあい・しもふかやの二
百文のせにゝくして、三百にて人夫のいとまをうけとゝむる也、その
むねを存すへし、
一五所宮御まつりの時、もしハ御すりのあらん時ハ、せんれいをたつね
て、ほとにしたかいてそのやくをつとむへし、たいかんすへからす、
一かまくらのやちハ三郎ニとらす、たゝし、ゐこんなからんをとゝにハ
すくせさすへし、他人をハやとせとも、をとゝにハかさぬ事おほくミ
る所也、をやのめいをそむく事なり、きひしくせいせハ、上ニ申すへ
し、
一下人らのあひたの事、かねて申つけ了、又せけむのくそくせうせうあ
らんをハ、こけさたに申あハせて、そのはからひにしたかふへし、
一女子ニゆつるさいけ田畠ハ、件女子はうニすきたるふるまひあらん時
ハ、子息よりあひて、この事ハ一定かとよくよくたつねて、もし一定
ならハ、件やしきを上まて申さすとも、おしとりて、子息等はいふん
してしるへし、件女子のこなんとにとらする事あるへからす、
一をやのためにほうこうありて心さしあらんものを、おや死去のゝち、
いつしかとかをいゐつけて、さんさんにあたる事、ゆめゆめあるまし
き事、
一をやのために仏事するよしいゐて、そのようとうれうニ、とかなから
ん人をせめてものをとりて、仏事する事あるへからす、くとくニなら
ぬ事也、
P21
一子息同まこらか中、やしきをなんと本丁をはくやうにもうちいれて、しま
とう事あらハ、おのおのよりあひて一とハひきたすけ、いまよりのち
ニハさる事候ましと、きしやうをかゝせてをくへし、なをそのこゝろ
ありてくるう事あらハ、そのやしきをハ、おやの申たる事なれハと
て、おのおのわけてしるへし、
右、このうゑニハさのミ申へきやうなし、この状をハ上下万人ひか事と
ハ候ましき也、一事といふともゆめゆめたかふへからす、あなかしこ
かしこ、
   建長二年庚十月廿日         在判