歴史史料の基礎研究である史料学、歴史地理、日本に関する外国文及び外国に所在する日本関係史料を担当します。史料学分野では文書や記録を読む上で不可欠な花押の網羅的蒐集と研究および『花押かがみ』の編纂・出版、海外史料分野では『日本関係海外史料』の原文及び訳文の編纂作業を行なっています。『大日本史料』に収める欧文史料の編纂も本部門が担当しています。

花押は、文書の真偽判定の手がかり、発給者特定の根拠、年代推定の決定的要素です。画像の比較だけでなく、史料学や政治史的な成果を踏まえた人名比定が必要となり、現在のコンピューター技術をもってしてもその処理には難しい問題が多くあります。2001年度から2009年度にかけて『花押かがみ』南北朝時代一~四を刊行し、南北朝時代編が完結しています。

海外史料分野では、日本学士院の委嘱を受けて行なった日本関係海外史料複本の蒐集事業をうけて、本所所蔵マイクロフィルムの目録化を進め、ほぼ完了しました。近年では新たなデジタル・データの受け入れ等も進めています。中世後期から近世初頭の日本を東アジア・東南アジアの文脈に位置づけつつ、ヨーロッパ諸言語を中心に外国語史料の研究を行なっています。蒐集マイクロフィルム(オランダ語)の紹介

禅籍史料研究プロジェクトでは、難解な漢文で書かれているけれども、中世の日本史像の解明 には欠かせない五山十刹を中心とした禅僧の日記や著作の研究を行っています。

刊行物 (2009 ~ 2018 年度)

長崎オランダ商館長日記1649 ~ 50 年第一葉
長崎オランダ商館長日記1649 ~ 50 年第一葉
(ハーグ市 オランダ国立中央文書館所蔵)