37.九州地域におけるキリシタン関係史料の調査

共同利用・共同研究拠点特定共同研究海外史料領域二〇一七年度課題「ヴァ
チカン図書館所蔵マリオ・マレガ氏蒐集史料の総合的研究」の一環として、
以下の国内史料の調査を行なった。大分・佐伯・臼杵・天草・長崎における
調査は、所外共同研究員及びマレガ・プロジェクトのメンバーとの合同調査
である。
 二〇一七年九月一三日―一五日 ①熊本大学附属図書館、②熊本市歴史文
書資料室、③熊本県立図書館において、近世豊後地域のキリシタン関係史料
の調査・蒐集を行った。近世の豊後国には熊本藩の飛び地があったため、熊
本藩関係の史料には、豊後地域におけるキリシタンの動向や、幕藩領主権力
によるキリシタン弾圧・統制の様相を知り得るものが含まれている。今回は、
大分県立先哲史料館の大津祐司館長(本所共同研究員)・佐々木直主任研究
員(同)・久保修平研究員とともに、①では同館所蔵の「松井家文書」(松井
家は熊本藩家老家)を、②では「永青文庫史料」(永青文庫は熊本藩主細川
家に伝来した史料群)を、③では上妻博之編『肥後切支丹史』に見えるキリ
シタン関係史料の原本をそれぞれ調査し、主要なものについては写真撮影・
コピーなどにより蒐集を行った。
(松澤克行)
 二〇一八年一月一三日―一五日 大分県立先哲史料館における竹田藩中川
家文書(菅原憲二編『豊後岡藩中川家文書目録』一九九四参照)・大分県立
図書館より移管文書の調査、及び大分市内現地調査を行なった。大津館長は
じめ、大分県立先哲史料館の皆様にお世話になった。
(松井洋子)
 二〇一八年一月二六日―二九日 大分県佐伯市歴史資料館における佐伯藩
史料(佐伯市教育委員会編『佐伯藩政史料目録』一九七九参照)の調査、及
び臼杵市内における現地調査を行なった。佐伯市歴史資料館学芸員甲斐玄洋
氏、臼杵市教育委員会岡村一幸氏(共同研究員)、同神田高士氏のお世話になっ
た。
(松井洋子・松澤克行)
 二〇一八年二月二二日―二五日 熊本県天草市において、上田資料館にお
ける上田家文書の調査、天草アーカイブズ収蔵の天草地域史料の概要調査を
行なった。松野恭子氏ほかアーカイブズの皆様のお世話になった。また天草
市世界遺産推進センターの平田豊弘氏にご案内をいただきキリシタン関連の
遺跡・集落を巡見し、天草キリシタン館・天草ロザリオ館を見学した。
(松井洋子)
 二〇一八年三月二三日―二五日 長崎純心大学博物館が収集した豊後地域
を含む各地のキリシタン関係史料を調査・撮影した。同館の松田亮子・神崎
香澄の両氏にお世話になった。また。長崎歴史文化博物館所蔵(旧長崎県庁
文書)の豊後国大分郡の貞享三年「切支丹宗門親類書」等を調査した。この
「親類書」は、本所謄写本(二〇一九―八)の原本とみられる。

(小野将・佐藤雄介・杉本史子・保谷徹・横山伊徳)

『東京大学史料編纂所報』第53号