12.「賀茂御祖神社絵図」の調査・撮影

二〇一七年五月三一日・六月一日、京都国立博物館に於いて、同博物館所
蔵で新たに重要文化財に指定された「賀茂御祖神社絵図」の熟覧調査とデジ
タル撮影を行なった。本絵図は、賀茂御祖神社祠官鴨脚家伝来で、縦約二二
〇糎、横約二〇〇糎、全三一紙から構成される大型の境内図である。社殿や
境内樹木の描画は細密で、いくらかの彩色が施されている。室町時代の成立
とされるが、その成立時期を含めて、絵図の位相、成立の経緯、描写、利用
目的など今後の検討が待たれる絵図である。調査に際しては、樋笠逸人氏(京
都大学大学院、当時)にご参加いただき、博物館羽田聡氏、岡田愛氏のご援
助を得た。厚くお礼申しあげたい。

(高山さやか・谷昭佳・藤原重雄・山口悟史・高橋敏子)

『東京大学史料編纂所報』第53号