13.「賀茂別雷神社文書」の調査・撮影

二〇一六年六月五日~七日および二〇一七年二月二〇~二二日までの二回にわたって、賀茂別雷神社(京都市北区)に出張し、同社所蔵文書の調査・デジタル撮影を行った。近年の編纂所による撮影は、同神社のご協力を得て、二〇一〇年度より継続して行なっている。
 「賀茂別雷神社文書」については、一九九七年年度~二〇〇二年度にかけて京都府教育委員会が、一九四五年(昭和二〇)以前の文書の網羅的調査を実施し、目録を刊行している(『京都府古文書調査報告書第十四集 賀茂別雷神社文書目録』京都府教育委員会 二〇〇三年三月)。その整理番号によれば、今年度撮影したのは、土蔵に保管されているⅡ‐I(算用状)‐二(番
衆)のうち一~三三三号、そして目録収載の土蔵保管文書群とは別置されている史料のうち、いわゆる「賀茂神主経久記」と称する六点の史料「嘉元四年摂社遷宮記」「嘉元三年御遷宮日記」「賀茂旧記」「賀茂社嘉元年中行事」「乾元二年日記」「御遷宮色々の事目安」と「明徳二年記録」「当宮本縁記(縁起)」の二点であった。これらは現在一つの木箱に収納されている一一点の史料の一部をなす原本・写本であり、今回未撮影の残り三点は江戸期・近代の影写本である。「賀茂経久記」など別置保管本については、『東京大学史料編纂所報』三五(二〇〇〇年)の史料採訪「34賀茂別雷神社記録の調査・撮影」の項、および尾上陽介「賀茂別雷神社所蔵『賀茂神主経久記』について」(『東京大学史料編纂所研究紀要』一一、二〇〇一年)を参照されたい。
 今回の番衆算用状の調査・撮影については、二〇一六年度史料編纂所共同利用・共同研究拠点における一般共同研究「中世社寺算用状類に見る会計知識の研究」との共同の研究成果でもある。
(遠藤珠紀・金子拓・川本慎自・高橋敏子)

『東京大学史料編纂所報』第52号