東京大学史料編纂所

HOME > 編纂・研究・公開 > 所報 > 『東京大学史料編纂所報』第51号(2015年度)

所報―刊行物紹介

『日本荘園絵図聚影』釈文編 二 中世一

 『日本荘園絵図聚影』釈文編(以下、釈文編)は、一九八七年度から二〇〇一年度にかけて刊行した『日本荘園絵図聚影』全七冊(以下、本編)の続編として、本編に図版を収載した荘園絵図等の釈文図(書き起こし図)を時代別に刊行するものである。本冊は、先に刊行した古代編に続き、全三冊を予定している中世編の第一冊にあたり、大判図版として釈文図の過半を収載するとともに、解説には、全ての釈文図を収載し、併せて各図の基本情報、校注・補注・形態及び書誌に関する事項、その他参考事項を記載した。本冊には、鎌倉時代以降に作成された図のうち、東日本(本編一上東日本一・一下東日本二)・山城国(本編二近畿一)に関わる九三図を収めた。配列は、現地の位置により概ね東北より西南に向う順とし、同一地域内では書写年代順とし、一部については、図の作製年代によってまとめて配列した。収録図は次の通りである([ ]内は所蔵者を示す)。
 一 陸奥国骨寺絵図 一[岩手県 中尊寺]/二 陸奥国骨寺絵図 二 表[同]/三 陸奥国骨寺絵図 二 裏[同]/四 陸奥国岩切分七町荒野絵図[岩手県 奥州市立水沢図書館]/五 越後国奥山荘波月条絵図[新潟県 胎内市役所]/六 越後国奥山荘与荒川保堺相論和与絵図[新潟県立歴史博物館]/七 越後国居多神社四至絵図[新潟県 居多神社]/八 越前国河口・坪江荘近傍図[東京都 国立公文書館内閣文庫]/九 越前国今泉浦絵図[福井県 西野厳氏]/一〇 若狭国丹生浦山指図[福井県美浜町丹生区]/一一 若狭国太良荘樋指図[京都府立総合資料館]/一二 近江国菅浦与大浦下荘堺絵図[滋賀県長浜市西浅井町菅浦区]/一三 近江国比良荘堺相論絵図 一[滋賀県大津市北比良区]/一四 近江国比良荘堺相論絵図 二[滋賀県 伊藤晉氏]/一五 近江国葛川与伊香立荘相論絵図 一[滋賀県 明王院]/一六 近江国葛川与伊香立荘相論絵図 二[同]/一七 近江国邇保荘条里図[滋賀県近江八幡市江頭町自治会]/一八 近江国金勝寺牓示絵図[滋賀県 金勝寺]/一九 下総国茂呂郷絵図(断簡)[神奈川県称名寺・神奈川県立金沢文庫保管]/二〇 武蔵国鶴見寺尾絵図[神奈川県立金沢文庫]/二一 武蔵国称名寺絵図並結界記[神奈川県称名寺・神奈川県立金沢文庫保管]/二二 相模国円覚寺境内絵図[神奈川県 円覚寺]/二三 相模国黄梅院絵図[神奈川県 黄梅院]/二四 相模国円覚寺華厳塔絵図 一[同]/二五 相模国円覚寺華厳塔絵図 二[同]/二六 相模国明月院絵図[神奈川県 明月院]/二七 相模国浄光明寺境 内絵図[神奈川県 浄光明寺]/二八 相模国善宝寺地図[神奈川県 光明寺]/二九 駿河国長慶寺周辺寺領図[静岡県 臨済寺]/三〇 尾張国富田荘絵図[神奈川県 円覚寺]/三一 尾張国安食荘堺絵図[京都府 醍醐寺]/三二 山城国愛宕郡市原野附近指図 一[東京都 宮内庁書陵部]/三三 山城国愛宕郡市原野附近指図 二[同]/三四 山城国愛宕郡市原野附近指図 三[同]/三五 山城国宝荘厳院用水指図[京都府立総合資料館]/三六 山城国宝荘厳院敷地指図[京都府  教王護国寺]/三七 山城国賀茂十楽院跡屋敷差図[京都府 大徳寺]/三八 山城国五辻大宮妙覚寺跡屋敷地指図[同]/三九 山城国大徳寺如意庵領敷地差図[同]/四〇 山城国大徳寺如意庵下地相博差図[同]/四一 山城国大徳寺栽松軒屋敷地指図[同]/四二 山城国大徳寺大仙院裏地指図[同]/四三 山城国龍翔寺西後園指図[同]/四四 山城国神護寺領高雄山絵図[京都府 神護寺]/四五 山城国主殿寮領小野山与神護寺領堺相論指図[同]/四六 山城国高山寺絵図[同] /四七 山城国嵯峨舎那院領絵図[京都府 天龍寺]/四八 山城国嵯峨亀山殿近辺屋敷地指図[同]/四九 山城国臨川寺領大井郷界畔絵図[同]/五〇 山城国嵯峨諸寺応永鈞命絵図(分割1・2)[同]/五一 山城国松尾社境内図[京都府 松尾大社]/五二 山城国桂川松尾御前淵用水指図[京都大学総合博物館]/五三 山城国桂川用水差図 一[京都府立総合資料館]/五四 山城国桂川用水差図 二[同]/五五 山城国西岡下五ケ郷用水指図[同]/五六 山城国桂川井手取口指図[同]/五七 山城国西岡たかはね井用水差図[同]/五八 山城国上久世荘東田井用水指図[同]/五九 山城国上野荘指図[同]/六〇 山城国上野荘用水指図[京都大学総合博物館]/六一 山城国川嶋南荘指図[京都府立総合資料館]/六二 山城国葛野・紀伊郡境図[京都府 醍醐寺]/六三 山城国五智院南地差図[同]/六四 山城国六月坂裾東角地差図[同]/六五 山城国醍醐寺西谷浄音坊藪地指図[同]/六六 山城国笠取荘図 一[同]/六七 山城国笠取荘図 二[同]/六八 山城国笠取荘図 三[同]/六九 山城国御室戸醍醐山上山廻指図[同]/七〇 山城国富家殿山絵図[京都府 聖護院]/七一 山城国富家殿山絵図写[東京大学史料編纂所]/七二 山城国伊勢田郷桑本里坪指図 一[京都府 大徳寺]/七三 山城国伊勢田郷桑本里坪指図 二[同]/七四 山城国九条領辺図[東京都 宮内庁書陵部]/七五 山城国紀伊郡里々坪付帳(分割1~19)[同]/七六 山城国大和大路東行職朝臣給地指図[同]/七七 山城国東福寺西門前菜園指図[同]/七八 山城国東福寺永明院敷地絵図[京都府 東福寺]/七九 山城国東九条領条里図[東京都 宮内庁書陵部]/八〇 山城国紀伊郡大副里今小路以南三・四坪指図[同]/八一 山城国紀伊郡大副里今小路以北石井顕親入道正円住宅以南畠地指図[同]/八二 山城国紀伊郡佐井佐里東寺領西寺田指図[京都府立総合資料館]/八三 山城国拝師荘道忍押領分田指図[京都大学総合博物館]/八四 山城国上久世荘図[同]/八五 山城国下久世荘絵図[京都府立総合資料館]/八六 山城国乙訓郡条里指図[東京都 国学院大学図書館]/八七 山城国久我本荘白井承仕給指図 一[同]/八八 山城国久我本荘白井承仕給指図 二[同]/八九・九〇 山城国乙訓郡条里坪付図(一)・(二)[東京都 宮内庁書陵部]/九一 山城国乙訓郡勝龍寺近隣指図[同]/九二 山城国某所川成注文指図[京都府 八坂神社]/九三 某所図(断簡)[同]
 本書の体裁は、大判図版の釈文図を、本編と同様、ほぼA2判大(二つ折)またはA3判大のプレートとし、製本せずに箱に収めた。解説編は、A4判の別冊とし、各図の①基本情報、②校注、③補注、④形態及び書誌に関する事項、⑤その他参考事項を記載した。①は、図の名称、本編収載の帙及び絵図番号、所蔵関係、作成・書写の時代に関する事項、材質技法、法量(縦×横の最大値)等で、おおむね本編の記載によったが、研究状況の進展によって訂正する必要が生じたものについては、一部改めた場合がある。②は、主に文字に関する事項で、釈文図の傍注等で処理できない内容を記した。③は、描画・彩色に関する内容及び調査所見等、④は、図の形態及び書誌に関する事項(保管・伝来・表装等)である。⑤は、関係史料、参考文献、比定地(図に描かれた現地)を示した。また、紙面構成図として、図の法量、料紙等の構成、折筋等の位置を模式図の形で示した。
 釈文編中世を刊行するにあたり、収録すべき内容・情報とその形式をはじめ、編纂・研究活動の展開について、古代・中世荘園図の研究者、史料所蔵機関の研究者各位から助言と指導を得る機会を設けたいと考え、二〇〇五年度から二〇〇七年度にかけて、荘園絵図中世ワークショップⅠ~Ⅲを開催した(二〇〇六年二月一七・一八日、二〇〇七年一月二六・二七日、同年一〇月二七日)。トレース図のゲラ、解説編の原稿につき、点検・検討をお願いし、ご教示・ご要望を承り、中世編の内容の充実・正確化、研究利用のための使い勝手の向上を図る目的で実施したものである。また、研究成果の公開として、公開研究会「荘園絵図に基づく地理情報システム構築の研究会」(二〇一〇年一二月二一日)、講演会「湯梨浜町歴史講演会「下地中分絵図の世界」」(二〇一一年三月一一日)などを行った。
 釈文編の編纂は、画像史料解析センターの研究プロジェクトで所内横断的な性格を持つ荘園絵図研究グループの以下のメンバーが、本編に引き続いて担当している(途中退職教職員を含む)。このうち、本冊の出版に特化したグループを組織し、出版実務を担当した(※印)。
 石上英一(~二〇〇八年度代表)・石川徹也・稲田奈津子・井上聡※・榎原雅治(二〇一四年度~代表)※・遠藤基郎・及川亘・加藤友康・鴨川達夫・川本慎自・菊地大樹・久留島典子・近藤成一・末柄豊・高橋慎一朗・高橋敏子※・高橋典幸・谷佳昭・鶴田啓・中村尚暁・西田友広※・林譲(二〇〇九~二〇一三年度代表)※・伴瀬明美・藤原重雄・前川祐一郎・村井祐樹・村岡ゆかり※・山口英男・山家浩樹
 なお、トレース図の制作は、村岡ゆかり(史料保存技術室模写担当)が担当したほか、日本画家である礒部光太郎・大橋拓子・大山龍顕・小笠原かほり・柏谷明美・木下千春・竹本直美・中村祐子・梁取文吾・藤井聡子・文眞英・文ファルラムの各氏に依頼した。また、画像史料解析センター客員教員として、青山宏夫氏(国立歴史民俗博物館、二〇〇六・二〇〇七年度)、高橋一樹氏(同、二〇〇八〜二〇一〇年度)、原田正俊氏(関西大学、二〇一四・二〇一五年度)、同センターの研究機関研究員・特任研究員等として、清水亮氏(研究機関研究員、二〇〇六年度)、守田逸人氏(同、二〇〇七年度、特任研究員、二〇一二~二〇一五年度)、伊藤瑠美氏(特任研究員、二〇〇八~二〇一二年度)、岩井(鈴木)沙織氏(学術支援専門職員、二〇一四・二〇一五年度)、同センター荘園絵図プロジェクトの共同研究員として、岡村吉彦氏(鳥取県県史編纂室、二〇〇八~二〇一五年度)・海津一朗氏(和歌山大学、二〇一一~二〇一五年度)に、それぞれご参加いただき、調査・研究情報の提供などの指導・協力を得た。
 本書の編纂・刊行に際しては、科学研究費等補助金「荘園絵図の史料学とデジタル画像解析の発展的研究」(二〇〇四~二〇〇七年度、研究代表者:林譲)、「画像解析とフィールドワークに基づく荘園絵図情報システムの構築」(二〇〇八~二〇一一年度、研究代表者:高橋敏子)、「画像解析と歴史・地理情報の高度活用に基づく荘園絵図の総合的研究」(二〇一二~二〇一五年度、研究代表者:榎原雅治)の経費と成果に依るところが大きい。
 なお、組版・印刷は株式会社平文社が行った。原本調査の機会を与えられ、本書刊行にご協力いただいた所蔵者及び関係者各位に対し、厚く感謝の意を表する。
(大判図版釈文図・例言二頁、同・目次三頁、同・釈文図九九丁、解説編・凡例一頁、同・目次三頁、同・本文二二七頁、発売東京大学出版会、本体価格二四、〇〇〇円)
担当者 林譲


『東京大学史料編纂所報』第51号p.59~61