東京大学史料編纂所

53.ロシア連邦サンクトペテルブルク市所在日本関係史料の調査

二〇一三年九月二二日から二九日にかけて、ロシア連邦サンクトペテルブ
ルク市に出張した。参加者は、保谷徹、小野将、佐藤雄介の三名である。現
地では、新潟大学麓慎一教授の合流・参加を得、ロシア科学アカデミー東洋
古籍文献研究所ワジム・クリモフ上級研究員に調査協力をあおいだ。
1、ロシア国立歴史文書館
ミレーツィン館長代理、アレクサンドル・ソコロフ前館長と面会し、新規
に日本関係史料と判明したものの目録作成計画等について相談を受けた。ソ
コロフ氏は五月に体調を崩し(研究集会での来日も中止)、館長を辞職して
いる。同氏の長年の御支援御協力に対し、史料編纂所長名の感謝状を手渡し
た。書庫で、ロシア側に残された露米会社ファイルや皇帝日誌などを閲覧し
た。
2、ロシア国立海軍文書館
書庫で写真アルバム(二〇世紀初頭のもの)を閲覧。セルゲイ・チェルニャ
フスキー館長と面会し、解説目録の追加出版や来年度の研究集会報告等につ
いて意見を交換した。
3、ロシア科学アカデミー東洋古籍文献研究所
ポポワ所長と面会し、史料集出版やロシア科学アカデミーの組織改編など
についてお話をうかがった。次いでサハリン・アイヌ交易帳簿の原本校正を
おこない、丁ごとの最終点検を完了した。
4、サンクトペテルブルク市映画・写真・映像文書館
諸種のイメージ(画像)を複製で収集したアーカイヴズである。モロザン
館長と面会し、日本関係の写真史料調査についてお話をうかがった。写真史
料五〇万コマのうち、日本関係と判明したものは目録データベース化されて
いる。個別の購入か、機関との共同研究かで取り扱いが異なり、後者の場合
は研究終了後の画像所持は認められないとのこと。閲覧許可をいただき、地
域別・主題別の目録カードをサンプル調査した。カードには所蔵する複製ネ
ガがプリント貼付してあり、伊藤博文・榎本武揚・岩倉具視などの名刺写真
も含まれる。概して二〇世紀以降の写真がほとんどであった。
5、エルミタージュ美術館
日本関係の写真史料を閲覧調査した。彩色された横浜写真(おみやげ写真)
のアルバム、ニコライ二世帰国後に日本からプレゼントされた「御旅館写真
帳」(全三冊)など。後者はニコライが訪問を予定した先々の写真帳である。
写真史料の分野は美術館側も収集に力を入れており、さらに多くの関係史料
がある様子がうかがえた。
(保谷 徹・小野 将・佐藤雄介)


『東京大学史料編纂所報』第49号