51.オーストリア共和国・スイス連邦所在日本関

係古写真等の調査・撮影
二〇一三年七月七日から十七日にかけて、オーストリア共和国ウィーン
市、スイス連邦ヌーシャテル市に出張した。参加者は、保谷徹・箱石大・谷
昭佳・高山さやかの四名である(保谷は二日遅れで出発)。また現地では、
共同研究員ペーター・パンツァー名誉教授(ボン大学)・宮田奈々氏に調査
協力をあおいだ。古写真研究プロジェクト(代表:保谷)と古写真科研(代
表:谷)、三菱財団人文研究助成(代表:保谷)による合同調査である。
1、オーストリア国立図書館(ウィーン市)
一八六九年に来日した写真家ヴィルヘルム・ブルガーの日本関係古写真コ
レクション及びウィーン万博関係写真アルバムを高精細デジタルカメラによ
り撮影・調査した。撮影データは、高精細画像、顕微鏡画像など計三〇七カッ
トであった。
2、ヌーシャテル民族誌学博物館(ヌーシャテル市)
一八六三年に来日したスイスの条約交渉使節エメ・アンベールの古写真コ
レクションを調査し、高精細デジタルカメラによる各種撮影をおこなった。
ゴンゼス館長と面会し、来年度の展示図録および古写真図録の出版、横浜で
の展示について、博物館側の協力要請を受けて話し合いをおこなった。
3、ヌーシャテル州文書館(同)
エメ・アンベールの書翰ファイルなど(Fonds: Aimé Humbert、Vol.1-9(う
ち4欠番), Dossier 10-14)をサンプル閲覧した。オリジナル書翰の上に粉
末の薬剤を振り、薄い紙を置いてプレスして写し取る特殊な複製方式による
もの。にじみ出た表面は判別が難しく、裏面のほうがシャープな画像になっ
ている。書翰複製は冊子状に綴じられ、発信地・宛先の索引が付されている
が、いずれもかなり読みにくいものである。
4、スイス連邦文書館(ベルン市)
ベアトの写真アルバムを撮影調査し、金銀山絵巻などを閲覧した。

(保谷 徹・箱石 大・谷 昭佳・高山さやか)

『東京大学史料編纂所報』第49号