39.関西学院大学図書館・大阪大学所蔵文書の調査・撮影

二〇一三年三月一八・一九日、関西学院大学図書館および大阪大学文学部
において、所蔵の東寺関係文書の調査・撮影を行った。
関西学院大学図書館所蔵「東寺文書」は一八通一巻、うち二通は、丹後国
志楽荘関係の文書であり、丹後国加佐郡金剛院内明王院に伝来した文書と考
えられるものである。一八通すべてについて、上島有氏が「関西学院大学図
書館所蔵東寺文書について」(『東寺・東寺文書の研究』思文閣出版 一九九
八年、初出は一九八一年)の中で、翻刻紹介され、東寺文書については、詳
細な解説・考察が加えられているので参照されたい。
大阪大学所蔵「東寺文書」については、「東寺文書検索システム」データ
ベース(富田正弘代表東寺文書データベース作成委員会編集・発行 二〇〇
一年)に登録されているが、これまであまり知られていなかった文書である
と思う。次に簡略な目録を掲げておく。
1.(年未詳)六月九日  今川氏真書状
2.(年未詳)一二月晦日 細川氏綱書状(東寺衆徒御中充て)
3.(年未詳)六月二日  木村清寿書状(折紙)(東寺備後殿・筑前殿充て)
4.永正二年一〇月二五日 千代夜叉東寺塔并講堂預職請文
5.永正一一年八月二五日 陰陽頭賀茂在重・治部卿同在富占文
6.応仁元年一二月六日  法輪院幸藝書下状
7.享徳元年一一月五日  真言院少行事浄琳重円請文
8.享徳三年七月四日   法橋祐賢請文
9.応永二八年六月一一日 成実東寺地蔵堂田地寄進状
 これらのうち、№2細川氏綱書状は、『大日本古文書』東寺文書之一四、
た一五一号(年未詳)一二月晦日多羅尾綱知書状(「東寺百合文書」た函一
五一)と、歳暮の巻数送進への謝礼という内容や充所・日付・筆跡が合致し
ており、多羅尾の書状は氏綱書状の副状であると推定される。また№1・6
は東寺伝来文書ではないと思われる。
 調査に際しお世話戴いた羽田真也氏(関西学院大学)・北泊謙太郎氏(大
阪大学)にお礼申し上げます。

(遠藤珠紀・伴瀬明美・村井祐樹・高橋敏子)

『東京大学史料編纂所報』第48号