東京大学史料編纂所

15.布施美術館所蔵史料の調査

二〇一一年一一月一四日、布施美術館(滋賀県長浜市高月町唐川三三九)
にて所蔵史料の調査を行った。館長布施秀茂氏には大変お世話になった。こ
こに深く謝意を表したい。中島圭一氏(慶應義塾大学文学部)を代表とする
科研費「中世を終わらせた「生産革命」─量産化技術の広がりと影響─」に
よる中世版木・版本調査の一環として、中島氏および住吉朋彦氏(同大学斯
道文庫)に同行してのものであり、両氏にも御礼申し上げる。
(一〇七七)烏枢瑟摩法
※巻子一軸。茶表紙、八双あり、直書外題「烏枢瑟摩法〈中下〉□□(擦消)」。
本紙全一五紙。楮打紙。縦二八・五×横、表紙二三・一、①三九・二、②四
〇・一、③四〇・二、④四〇・二、⑤四〇・二、⑥四〇・一、⑦四〇・〇、
⑧四〇・一、⑨四〇・一、⑩四〇・二、⑪四〇・一、⑫九・三、⑬四〇・二、
⑭三九・七、⑮二五・四(軸に直付)。弾頭状の軸頭の黒塗合せ軸あり。軸
長三一・九。本紙端裏「烏枢瑟摩法〈中下〉」。墨界罫線あり(天地各一本)。
界高二四・九。界幅二・〇。朱点・朱書あり。図像二点あり(淡彩、『大正
新修大蔵経』所載釈迦文院本〈参考図像五六・五七〉と同一形勢)。裏書あり。
奥書「寛元四年二月十三日、於法花山寺興慈院書/写了、 頼賢/〈本云、〉
元久二年壬七月十二日、以草本書写了、貞玄/弘安四年〈辛巳〉八月四日、
於金剛峯寺勧学院書写了、/正応三年〈庚寅〉十月廿三日、於高野山尺迦文
院令書/写了、/延慶三年〈庚戌〉六月朔日「於院書写了 実遍」(自筆
カ)」。延慶三年(一三一〇)実遍自筆・雇筆書写の『覚禅鈔』高野山宝亀院
本のうちの一巻。宝亀院本『覚禅鈔』については、「古代出雲歴史博物館所
蔵の中世神仏関係絵画」(『島根県古代文化センター調査研究報告書 神々の
すがた・かたちをめぐる多面的研究』二〇一一年)の「大黒天神法」解題に
若干記した。図像を除き、本文・裏書の内容面では、『大正新修大蔵経』と
大きな出入りはない。称名寺本にも図像二点を描くが、彩色はない(神奈川
県立金沢文庫編『密教図像』一九九八年、図250・251)。同館『古写経古書
画展観目録』(昭和三十八年四月)三一。
なお、同目録三四「朗詠題詩歌」一巻(史料編纂所架蔵写真帳『布施巻太
郎氏所蔵文書』]6171.61-93-3])は、現在は善峯寺(京都市西京区)に所蔵
されており別に写真帳もある]6131-67]。本所では、一九六三年(同上写真
帳)・一九八二年(『所報』一七号七三頁)にマイクロフィルムによる撮影を
行っている。
(藤原重雄)


『東京大学史料編纂所報』第47号