東京大学史料編纂所

65.今治市河野美術館所蔵『愚昧記』等古記録の調査

 二〇〇九年一二月七日、今治市河野美術館において、『大日本古記録 愚昧記』編纂のため同館所蔵の『愚昧記』古写本等を調査した。調査した書目は左記の通りである。同館所蔵図書の目録は『今治市河野信一記念文化館図書分類目録』(愛媛大学地域社会総合研究所研究報告A一三、一九七四年)参照。調査に際し同館学芸員の羽藤公二氏のご高配・ご教示を得たことを特記し、深く感謝する。
●『愚昧記』(架番号一二七/一九二一) 冊子本 一冊
 嘉応元年春記。永正十年に三条西実隆が原本(史料編纂所所蔵第三巻)を書写したもの。縦二八・〇糎、横二二・三糎。「三条西」印あり。表紙右端に「正御記虫損無極、大底写之、神宮事一見之次、先此年御記書之、永正十、正、十九」、奥書に「此御記正、虫損無極、如形加推量、凌老眼馳禿筆、子孫之外不可許他見者也、/永正十年五月六日 十代末葉老槐(花押)五十九才」とある。縦三三・七糎、横二四・四糎の木箱に入っており、木箱蓋右下方には「一六三」と記入された貼紙がある。紙背文書は書状や『源氏物語』など。前掲『今治市河野信一記念文化館図書分類目録』九一頁参照。
 なお、一九四九年九月に反町茂雄所蔵の本冊を撮影したレクチグラフが史料編纂所に所蔵され(架番号六八〇〇/二二三)、また『弘文荘待賈古書目』二〇(一九五一年)の二〇四番に掲載されている。
●『明月記』(架番号四五九/一九二二) 冊子本 二冊
 近世写。「明月記歌道事」(全一冊)が重複。二冊共に文禄五年七月五日の本奥書あり。
●『親長卿記』(架番号四五九/一九二三) 冊子本 一冊
 寛文十三年写。表紙には「親長卿記文明三年」とあるが、内容は①文永九年二月十七日後嵯峨院崩御記、②親長卿記文明三年正月~一二月からなる。奥書に「寛文十三年四月十五日一校了、/特進水原(花押)」とある。「篁園文庫」印あり。
●『臥雲日件録』(架番号四五九/一九二四) 冊子本 二冊
 近世写。第一冊は文安三年~宝徳二年、第二冊は宝徳三年~文明五年。裏表紙貼紙に「癸巳四月十四日校閲畢、著作堂」の朱書がある。「西荘文庫」印あり。
(尾上陽介)


『東京大学史料編纂所報』第45号