66.地蔵院聖教の調査・撮影

二〇〇八年一〇月七日から一一日、同一一月二八日から一二月二日までの二回にわたり、巨鼇山地蔵院萩原寺(香川県三豊郡観音寺市大野原町萩原、古義真言宗大覚寺派)に出張し、同寺所蔵の「地蔵院聖教」の調査及びデジタル撮影を行った。本調査は四国史料調査の一環であり、一九八八年度より継続しており、本年度調査は第二一・二二回である。「地蔵院聖教」の中核となるものは萩原寺中興第一世真恵(宝徳元年1449寂)の時代に蒐集、或いは授受された小野流の報恩院流儀海方・実深方、実賢流覚智方・同山本方、金剛王院流覚智方、石山流人師方、中院流、さらに広沢流の慈尊院流・西院流能禅方・華蔵院流などに関する聖教である。
 本年度第一回目は、本年度以降におけるデジタル写真撮影の準備作業としての再整理作業(編年)と修補作業を行った。第二回目は、再整理及び修補作業に加えて、未了であった第三九函及び仮函番号1F2-2の調査目録の作成を終了するとともに、平安時代聖教及び秘鈔函所収の鎌倉時代書写の聖教類の撮影を行った。なお、本年度は生駒哲郎氏に調査に参加していただいた。調査目録の原本は古代史料部門研究室に保管している。貴重な所蔵史料の調査を許可された萩原寺住職秋山行徳師に謝意を表する。

(石上英一・山口英男・厚谷和雄・末柄 豊・川本慎自・井上 聡・谷 昭佳・山口悟史・中藤靖之)

『東京大学史料編纂所報』第44号