東京大学史料編纂所

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所報―刊行物紹介

『日本荘園絵図聚影』釈文編 一 古代(二〇〇七年九月刊)

『日本荘園絵図聚影』釈文編は、一九八七年度から二〇〇一年度にかけて刊行した『日本荘園絵図聚影』全七冊(以下、本編)の続編として、本編に収録した荘園絵図の釈文図(書き起こし図)を時代別に刊行するものである。主に史料学的情報を記載した解説編を附録とした。本冊は、その刊行第一冊にあたる。全体計画としては、今後、中世三冊を二〇一〇年度から三年程度の期間をおきながら刊行する予定である。
本冊には、平安時代以前に作製された図(一部は原図の作成年代による)三九図を収めた。配列は、現地の位置により概ね東北より西南に向う順とし、同一地域内では書写年代順とした(一部については、図の作製年代によってまとめて配列した)。収録図は次の通りである([ ]内は所蔵者、[ ]のないものは正倉院宝物)。
一 越中国新川郡丈部開田地図(天平宝字三年)
二 越中国新川郡大藪開田地図(天平宝字三年)
三 越中国射水郡須加開田地図(天平宝字三年)
四 越中国射水郡田開田地図(天平宝字三年)
五 越中国礪波郡石粟村官施入田地図  [奈良国立博物館]
六 越中国礪波郡伊加流伎開田地図(天平宝字三年)
七 越中国礪波郡井山村墾田地図(神護景雲元年)
八 越中国礪波郡伊加留岐村墾田地図(神護景雲元年)
九 越中国礪波郡杵名蛭村墾田地図(神護景雲元年)
一〇 越中国射水郡須加村墾田地図(神護景雲元年)
一一 越中国射水郡鳴戸村墾田地図(神護景雲元年)
一二 越中国射水郡鹿田村墾田地図(神護景雲元年)
一三 越中国新川郡大荊村墾田地図(神護景雲元年)
一四 越中国射水郡鳴戸村墾田地図  [奈良国立博物館]
一五 越中国射水郡鹿田村墾田地図  [奈良国立博物館]
一六 越中国礪波郡石粟村官施入田地図  [天理大学附属天理図書館]
一七 越前国坂井郡高串村東大寺大修多羅供分田地図
一八 越前国足羽郡道守村開田地図
一九 越前国足羽郡糞置村開田地図(天平宝字三年)
二〇 越前国足羽郡糞置村開田地図(天平神護二年)
二一 近江国水沼村墾田地図
二二 近江国覇流村墾田地図
二三 山城国葛野郡班田図
   [京都府立総合資料館・お茶の水図書館・国立歴史民俗博物館]
二四 山城国宇治郡山科地方図(写)  [東京大学史料編纂所]
二五 大和国東大寺山堺四至図
二六 大和国添下郡京北班田図一  [西大寺]
二七 大和国添下郡京北班田図二  [東京大学文学部]
二八 大和国平城京木寺東所地四坊図  [随心院]
二九 平城京市図  [知恩院]
三〇 大和国額田寺伽藍並条里図  [国立歴史民俗博物館]
三一 大和国飛騨荘実検図  [東大寺図書館]
三二 大和国?観音寺領絵図  [唐招提寺]
三三 某田図(断簡)   [唐招提寺]
三四 摂津国島上郡水無瀬荘絵図
三五 摂津国河辺郡猪名所地図  [尼崎市教育委員会]
三六 摂津国八部郡奥平野条里図(断簡) (写)  [神戸市立中央図書館]
三七 阿波国名方郡新島荘(牧方)絵図
三八 阿波国名方郡大豆処絵図
三九 讃岐国山田郡田図  [多和文庫]
なお、越中国射水郡鳴戸開田地図(天平宝字三年、本編一上―一一に収録)は、編纂期間中に調査することができず、しかしながら近年中にその機会を得られると判断したことから、釈文編の次冊以降に補遺として収録する計画とした。同図は、その後、奈良国立博物館の所蔵となった。
本書の体裁は、釈文図は、本編と同様、A2判またはA3判(二つ折)のプレートとし、製本せずに帙に収めた。解説編はA4判の別冊とし、各図の①基本情報、②校注、③補注、④形態及び書誌に関する事項、⑤その他参考事項を記載した。①は、図の名称、本編収載の帙及び絵図番号、所蔵関係、書写の時代に関する事項、材質技法、法量等で、おおむね本編の記載に従ったが、一部改めたものもある。②は、主に文字に関する事項で、釈文図の傍注等で処理できない内容を記した。③は、描画・彩色に関する内容及び調査所見等、④は、図の形態及び書誌に関する事項(保管・伝来・表装・諸本、等)である。⑤は、関係史料、参考文献、比定地(図に描かれた現地)を示した。また、参考図として、図の法量、料紙等の構成、条里を示す方格線の様態、折目・切れ目等の位置、押印箇所などを示す摸式図を収めた。
釈文編の編纂は、画像史料解析センターの研究プロジェクトで所内横断的な性格を持つ荘園絵図研究グループ(代表:石上二〇〇八年度まで)のメンバーが、本編に引き続いて担当している。一・古代の編纂作業を本格的に開始したのは二〇〇三年度である。編纂作業を進める中で、二〇〇四年一月・二〇〇五年一月・二〇〇六年一月の三回、ワークショップを開催し、どういった内容の史料集が必要であるか、古代史・考古学・歴史地理学等の関係する研究者と意見交換する機会を持った。また、宮内庁正倉院事務所・杉本一樹氏(二〇〇三年度後期非常勤講師)、富山大学・鈴木景二氏(二〇〇四〜五年度画像史料解析センター客員)、京都大学・吉川真司氏(二〇〇六年度同センター共同研究員)より、調査・研究情報の提供などの協力を得た。
二〇〇四年度からは「荘園絵図の史料学とデジタル画像解析の発展的研究」の題目で科研費の配分を得て(代表:林譲)、荘園絵図データの学術資源化を進めた。編纂の具体的作業は、釈文図の作製(描画部分のトレース作製、文字割付)、解説編作成(原稿作成、参考図作製)、原本調査、校正など、多岐にわたったが、石上・山口(本冊主担)・稲田(二〇〇四年度〜)のほか、新井重行(二〇〇三〜四年度研究機関研究員)、有富純也(二〇〇三〜四年度リサーチアシスタント)、佐々田悠(二〇〇五〜六年度研究機関研究員)、浅野啓介(二〇〇五年度リサーチアシスタント)、北村安裕(二〇〇六年度リサーチアシスタント)がこれに加わり、トレース作製は村岡ゆかり(模写担当技術職員)・竹本直美(東京芸術大学大学院)が担当した。組版・印刷は株式会社・平文社が行った。
原本調査の機会を与えられ、本書刊行にご協力いただいた所蔵者及び関係者各位に謹んで謝意を表する。
(例言一頁、目次四頁、釈文図九九丁、解説編・凡例一頁、同・目次四頁、同・本文一四〇頁、本体価格二四、〇〇〇円)
担当者 山口英男・稲田奈津子・石上英一


『東京大学史料編纂所報』第44号p.40~41