東京大学史料編纂所

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沖縄史料調査

 二○○八年一月六日より一一日まで及び一月二七日より二月三日まで、沖
縄県に出張し、那覇市歴史博物館及び沖縄県立図書館郷土資料室で南島画像
関係資料及び琉球家譜関係資料の調査を行った。前者は画像史料解析センター
の研究プロジェクト「南島関係画像資料の研究」による奄美関係画像史料の
調査のためであり、後者は基盤研究「日本前近代史料の国際的利用環境構
築の研究」による琉球・薩摩関係史料、琉球・日本関係史料の調査のためで
ある。本報告では、両調査にわたるところがあるのであわせて記す。
◎那覇市歴史博物館蒐集琉球家譜資料
『那覇市史』資料篇に翻刻されている家譜は略す。下記の家譜は、関係記
事を筆写した。詳細は、別の機会に紹介する。
○向姓家譜『氏集』一番一三。薩摩上国・江戸上りの記事あり。康煕三十
五年(元禄九年)麑嶋火炎使同四十年唐船土佐漂着の記事あり。
○尚姓家譜『氏集』官江差出候地系図・一番二六一一。島津家よりの神當
流馬術伝授の記事多数あり。石上「南島雑話とその周辺」一二『画像史料解
析センター通信』四三号、二○○八年一〇月)に、馬術関係記事を紹介予定。
○齊姓家譜『氏集』二番一八五。薩摩上国、琉球仮屋の記事あり。
○章姓家譜『氏集』二番一九九。薩摩上国・江戸上りの記事あり。二世正
恒、康煕九年御礼使脇大親として江戸に上り、島津光久より「御自筆花鳥之
絵」一枚を賜る。同、康煕三十九年、尚貞王孫尚益上国し島津綱貴より拝領
の馬を汀志良次馬場にて上覧。
○馮姓家譜『氏集』二番二一一。年頭慶賀使等の記事あり。乾隆三年、島
津吉貴より尚敬王へ数奇屋を賜う記事あり。
○楊姓家譜『氏集』二番二一七。琉球仮屋の記事あり。
○楊姓家譜『氏集』二番二二四。薩英戦争の記事あり。
○楊姓家譜『氏集』二番二三○。乾隆元年、仙台藩石巻の船の漂到の記事
あり。
○楊姓家譜『氏集』二番二三二。薩摩上国記事あり。
○楊姓家譜『氏集』二番二三七。薩摩上国記事あり。
○楊姓家譜『氏集』二番二四〇。薩摩上国記事あり。
○葛姓家譜『氏集』二番二四六。薩摩上国記事あり。六世秀原は唄吶役、
探定席画を賜わる。
○葛姓家譜『氏集』二番二五○。二世秀信の段に、嘉靖三十八年、銭氏友
寄親雲上直能の鬼界島配流の記事あり。薩摩上国、江戸上り記事あり。六世
秀盈は楽師。
○向姓家譜『氏集』官江差出候地系図・一番二六一二。琉球仮屋の記事あ
り。
○章姓家譜『氏集』官江差出候地系図・二番二六二七。江戸上りにあたっ
ての献上品(卓・硯箱等道具)製作のための貝摺奉行関係記事あり。この種
の記事は現存する他の家譜には見えないと思われる。
○馮姓家譜『氏集』官江差出候地系図・二番二六二九。薩摩上国、天草漂
到記事あり。
○向姓家譜『氏集』官江差出候地系図・五番二六四八。薩摩上国記事あり。
十世朝鋪、乾隆五十四年、磯御屋敷にて島津齊宣より「敷絵二枚〈探定/
筆〉」を賜る。
◎沖縄県立図書館郷土資料室所蔵琉球家譜資料
 今回、一部を複写した資料。
○阿姓家譜支流K288-A91。『氏集』二番一五一。薩摩関係記事あり。
○伊姓家譜K288-I09。『氏集』になし。年頭慶賀使の記事あり。
○方姓家譜支流K288-H89。『氏集』二番一七五。薩摩関係記事なし。冠船
記事あり。
○向姓冨名腰家家譜K288-Sh95。『氏集』五番六○一。薩摩関係記事あり。
○向姓家譜K288-Sh96。『氏集』一番五。東恩納寛惇文庫本の書き下し本。
那覇市歴史博物館に漢文本の転写本の複写版あり。
○向姓家譜K288-Sh96。『氏集』一番四二。東恩納寛惇文庫本「漢那氏家
譜」に書き下し本あり。薩摩関係記事あり。
                              (石上英一)


『東京大学史料編纂所報』第43号p.105