東京大学史料編纂所

2.東北歴史博物館・仙台市博物館所蔵史料の調査・撮影

二〇〇五年八月二二日から二四日まで、東北歴史博物館(宮城県多賀城市高崎)・仙台市博物館(宮城県仙台市青葉区川内)に出張し、所蔵史料の調査・撮影を行なった。
東北歴史博物館の調査は、科学研究費基盤研究(B)(1)「中世東国武家文書の成立と伝来に関する史料学的研究―陸奥白河結城家文書を中心に―」(研究代表者・東京大学人文科学研究科教授村井章介氏)の調査に帯同してのものであり、同科研の調査対象であった同館所蔵「国分家文書」につき、マイクロフィルムでの撮影を行なった。撮影した文書は左記のとおりである。
1 文和二年正月二十日 足利尊氏御判御教書
2 四月四日 細川勝元奉書
3 十二月七日 寺町通隆書状
4 卯月二十四日 梶原政景書状写
5 小春二十八日 佐竹義昭書状
6 二月二十一日 北条氏康書状
7 十二月二十八日 田村清顕書状
8 八月十五日 蒲生氏郷書状
「国分家文書」の概略については、伊藤信「国分文書について」(『東北歴史資料館 研究紀要』七、一九八一年)を参照されたい。また、以上八点はすべて『白河市史』に採録されている。なお、東北歴史博物館での所蔵史料名は「国分家文書」であるが、同文書は元来、陸奥国南部に勢力を持った結城白河氏の系譜に連なる仙台白河家に伝来していたものであるため、採訪史料名は「国分白河文書」と表記することにする。
仙台市博物館では、同館所蔵「国分家資料」の調査・撮影を行なった。「国分家資料」は、仙台藩家臣国分家に伝来した史料群であり、一九九九年に国分家から仙台市博物館に一括寄贈された。
史料編纂所では、一八八九年(明治二二)に星野恒が採訪を行ない、同年四月『国分文書』として影写本を作成、架蔵されている(架番号三〇七一・二三―一九)。しかしながら影写本には、国分家所蔵史料のうち、中世文書を中心とした一部しか収められていないため、近年仙台市博物館に寄贈され、整理・公開がなされたのを機に、同館の許可を得て系図草案一点を除く全点のマイクロフィルム撮影を行なった。
撮影した文書は左記のとおりである(※印は影写本『国分文書』所収)。なお「国分家資料」の史料群としての性格、所蔵者である国分家の歴史、所蔵史料の詳細なデータについては、齋藤潤「新収資料・国分家資料について」(『仙台市博物館調査研究報告』二〇、二〇〇〇年)を参照されたい。同稿には、今回撮影した史料全点の翻刻および解説、モノクロ写真も掲載されている。
1 正安三年四月十日 関東下知状※
2 元弘三年七月二十五日 官宣旨案※
3 嘉慶二年七月四日 伊達政宗知行配分状※
4 応永九年十一月三十日 伊達政宗知行安堵状※
5 応永十四年三月十五日 伊達氏宗知行安堵状※
6 文安二年十月十七日 伊達持宗施行状※
7 文正二年十一月吉日 千代松丸所領譲状※
8 天文十二年七月三日 伊達晴宗知行宛行状※
9 永徳元年八月三日 明阿弥陀仏譲状※
10 応永十二年二月一日 重阿弥陀仏譲状※
11 文安四年卯月二十七日 沙弥道喜譲状※
12 応仁二年七月二日 賢良所領渡状※
13 文明十二年六月二十一日 高光在家売券※
14 明応七年七月十一日 田手宗実譲状※
15 天文七年八月吉日 国分氏分限書上※
16 天正二年七月十九日 中嶋親信領地相博状※
17 文禄三年七月吉日 広田宗綱鷹術伝授状※
18 慶長十七年九月四日 新野主膳願状※
19 年月日未詳 某譲状※
20 年月日未詳 某置文案
21 寛永二十一年八月十四日 伊達忠宗領知黒印状
22 正保三年十二月十日 伊達忠宗領知黒印状
23 天和三年八月日 伊達綱村領知朱印状
24 元禄三年十二月十八日 伊達綱村領知朱印状
25 元禄四年三月二日 伊達綱村領知朱印状
26 宝永元年六月日 伊達吉村領知朱印状
27 同 知行御割目録
28 延享元年六月日 伊達宗村領知朱印状
29 同 知行御割目録
30 宝暦八年七月日 伊達重村領知朱印状
31 同 知行御割目録
32 寛政四年七月日 伊達斉邦領知朱印状
33 同 知行御割目録
34 文化九年十月日 伊達斉宗領知朱印状
35 同 知行御割目録
36 文政三年六月日 伊達斉義領知朱印状
37 同 知行御割目録
38 文政十一年六月日 伊達斉邦領知朱印状
39 同 知行御割目録
40 天保十三年八月日 伊達慶寿(慶邦)領知朱印状
41 同 知行御割目録
42 (文禄二年)閏九月二十日 伊達政宗書状
43 (文禄三年)霜月二十一日 伊達政宗書状
44 (文禄四年)九月二十三日 伊達政宗書状
45 年未詳八月二十七日 伊達忠宗書状
46 年未詳三月二十一日 奥山常良書状
47 年未詳正月六日 国分行信書状
48 年未詳正月七日 国分行信入日記
49 元禄六年六月二日 国分家由緒書上案
50 年未詳十月十五日 中村成義書状※
51 (元禄十六年カ)六月十五日 中村成義申渡状
52 同 中村成義申渡状
53 同 布施定安申渡状
54 同 津田晴康申渡状
55 国分氏系図 江戸時代
56 元治元年十一月 〔御切米御役料給付用木札〕
57 年未詳正月二十一日 両替所預り手形
また、仙台市博物館では、『大日本史料』第十編編纂と関連して、同館所蔵の伊達輝宗書状を中心にあわせて調査を行なった。同館では、前記「国分家資料」以外にも、近年仙台藩旧臣の家からの文書寄贈をいくつか受けており(「三分一所家文書」「桜田家文書」など)、伊達晴宗から政宗期にかけての判物・書状類がそれぞれ何点か収められている。今回は予備調査として同館所蔵文書を把握するにとどまったが、次年度以降あらためて撮影を行ないたいと考えている。
所蔵史料撮影の許可を与えられ、調査についての便宜をお図りいただいた東北歴史博物館、同館塩田達也氏・籠橋俊光氏、仙台市博物館、同館齋藤潤氏、調査への帯同を許された村井章介氏に厚く謝意を表する。
(金子 拓・黒嶋 敏・西田友広)


『東京大学史料編纂所報』第41号