75 イギリス・オランダにおける日本関係史料の調査

二〇〇四年八月二三日より九月四日まで、科学研究費基盤研究(B)(2) 「近世日本関係欧文文書群の史料学的研究」(二〇〇三年~二〇〇六年)によって、イギリス及びオランダにおいて史料調査を行なった。
1大英図書館
(1)手稿本室において、COLLECÇAM authentica de todas as Leys, Regimentos, Alvaras, e mais Ordens que se expediram para a India desde o estabelecimento destas conquistas; ordenada por provizam de 28 de Março de 1754.というアジアにおけるポルトガルの活動にかかわる文書の集成を閲覧し、刊本との関係を確認した。
また、同室スローン・コレクションにあるエンゲルベルト・ケンペルが持ち帰ったとされる文書のうち、いわゆる「御条目」(江戸城内でオランダ人に対して読み聞かされる命令)の現物調査を行なった。この日本語文書はホルダーに収められ別置されていたため、検索及び閲覧に際して同館日本語文書担当のハミッシュ・トッド氏のお世話になった。
(2)旧インド省文書室において、イギリス東インド会社文書を中心とする旧インド省文書Indian Office Recordsの現在の目録体系を概観した。その後日本関係文書のうち本所未所蔵分を調査し、一部についてマイクロフィルムによる複製を入手した。(詳細については科学研究費報告書に掲載予定)
2オランダ国立文書館
 同館所蔵文書のうち、オランダ政庁文書(Hooge regering Batavia)、アジア植民地会議文書(Raad der Aziatisce Bezittingen)を調査し、既蒐集の日本商館文書との対応関係等の確認を行なった。
3オランダ国立ユトレヒト文書館
 同館所蔵文書のうち、ハイデコーペルHuydecoper家文書を調査した。この文書群の中には、アムステルダムの有力者であった同家の姻戚中にオランダ東インド会社の重役がいた関係からか、東インド会社関係の文書が相当数入っており、中には日本商館長コルネリス・ナイエンローデのタイオワン長官ピーテル・ヌイツ宛て書翰の原本も含まれている。これら日本、台湾関係の文書について、マイクロフィルムによる複製を入手した。(詳細については科学研究費報告書に掲載予定)
4オランダ王立図書館
 同図書館において、オランダで刊行された東インド会社関係の文献を調査した。

(木村直樹・松井洋子)

『東京大学史料編纂所報』第40号