東京大学史料編纂所

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ベルナール・フランクコレクションの調査

 九月一八日から二六日昨年度に引き続き、コレージュ・ド・フランス日本学高等研究所(パリ)において、同所寄託のベルナール・フランクコレクションの調査・撮影を行った。本コレクションは、故ベルナール・フランク氏が、日本各地で蒐集した仏寺・神社のお札である。昨年度はその全体像を把握するにとどまったが、本年は、昨年確認ずみの約八〇〇点分のデジタル画像撮影を完了した。調査の過程でさらに未確認の資料が確認された。これについては、時間の制約もあり、今回撮影を果たすことができなかった。今後の課題である。
 本お札コレクションの特徴は、図像を主とするお札を中心とすることであり、その分類・整理も像主を規準にしている。ちなみに代表的な像主ごとの内訳は、次の通り(括弧内は現段階での数)。釈迦如来(13)、阿弥陀如来(25)、薬師如来(29)、大日如来(13)、弥勒菩薩(2)、虚空蔵菩薩(21)、観音菩薩(165)、普賢・文殊菩薩(15)、地蔵菩薩(38)、不動明王(55)、烏芻沙摩明王(9)、愛染明王(7)、大元明王(3)、その他明王類(2)、毘沙門天(21)、摩利支天(6)、帝釈天(4)、聖天(4)、吉祥天(1)、鬼子母神(15)、仁王(4)、護法童子(5)、閻魔(5)、青面金剛(3)、五大力(3)、荒神(24)、七福神(14)、大黒天(47)、弁財天(36)、天狗・権現類(15)、稲荷権現(16)、妙見菩薩(20)、高僧類(56)、聖徳太子(8)、元三大師(22)、日蓮(宗)(12)。わけても観音菩薩の点数が群を抜いて多いのが注目される。これはフランク氏個人の関心も反映しているのかもしれないが、やはり民間信仰としての観音信仰の広がりと厚みの現れであろう。
 なお、今回の調査より、国学院大学の21世紀COEグループ(「神道と日本文化の国学的研究発信の拠点形成」プログラム)および、「護符の文化的・社会的意味に関する基礎的研究」グループ(代表国学院大学千々和到)との共同調査となった。日本文化論・宗教史・宗教文化論の専門家が参加することによって、本調査は幅・内容的に充実したことを記す。

(遠藤基郎・菊地大樹)


『東京大学史料編纂所報』第39号p.171