59.韓国所在日本関係史科の調査

二〇〇三年一〇月一五日から二一日までの日程で大韓民国に出張し、釜山広域市・大田広域市・京畿道果川市の史料保存機関を訪問して、前近代日本関係史料の所在状況等を調査した。なお、今回の出張調査には、産能大学の木村直也助教授にも同行をお願いし、近世・近代日朝関係史に関する御助言を得た。また、釜山・大田の調査では、釜山大学校人文大学史学科の金光玉副教授に多大な御助力を賜った。記して厚く感謝申し上げたい。
 各機関ごとの調査の概要は、以下に記す通りである。

一、釜山大学校図書館古典資料室(釜山広域市金井区長箭洞山三〇)
 今のところ古典資料室の蔵書目録はない(現在作成中、一部はデータベース化)。所蔵図書の多くは朝鮮時代の漢籍だが、日本関係の書籍もある。現在は個人の蔵書なども受け入れて整理中とのことである。今回は書庫を見学した後、朝鮮王朝実録から日本関係記事を抜粋した謄写本の一部を閲覧した。本史料は、朝鮮総督府朝鮮史編修会の修史官であった中村栄孝の旧蔵本と伝えられるものである。なお、釜山大学校では、図書館長・李黄奎教授、人文大学長・蔡尚植教授を表敬訪問し、今回の調査について便宜を図って頂いた。

二、釜山広域市立市民図書館(釜山広域市釜山鎮区草邑洞山五一-一)
 日本関係史科を含む蔵書目録としては、『古書目録』(釜山広域市立市民図書館、一九九五年四月)があり、ホームページからも検索が可能とのこと。今回は貴重書庫を見学した後、「釜山府史原稿」(六冊)や釜山日本総領事館旧蔵文書などを閲覧・調査した。主な閲覧史料の概要は次の通り。
(中略)

三、政府記録保存所〈大田本所〉(大田広域市西区屯山洞九二〇政府大田庁舎)
(中略)

 最後に、今回の出張調査で入手した文献を列挙しておく。
・『釜山学研究文献目録集』(釜山広域市・釜山大学校韓国民族文化研究所、一一〇〇一年一二月)
・金容旭「釜山市関係文献資料紹介」(『港都釜山』釜山直轄市史編纂委員会、一九六二年一二月)〈「釜山大学校中央図書館資料」の箇所のみ複写〉
・金義煥(編)『釜山市立図書館所蔵貴重本 図書解題』(釜山市立図書館、一九六九年八月)〈複写本〉
・『古書日録』(釜山広域市立市民図書館、一九九五年四月)
・『蔵書目録(朝鮮関連解放前日書篇)』(釜山広域市立市民図書館)〈複写〉
・「都県地図(一八七二年)中 東莱府地図(奎章閣所蔵)」複製版(釜山大学校作成)

   (及川 亘・久留島典子・黒嶋 敏・鶴田 啓・箱石 大・保谷 徹)

『東京大学史料編纂所報』第39号