56.台湾に所在する前近代日本関係史料の調査

前年度に引き続き、台湾大学図書館特蔵組が所蔵する前近代日本関係古文書の調査と、今年度新規に、中央研究院近代史研究所が所蔵する外交档案の調査・蒐集を行った。
 第一回目 平成十三年十月十日から十二日までの三日間、保谷徹と松澤克行が出張した。本格的な調査に入るため、文書全体の状態と調査環境を確認し、また台湾大学図書館長と事務的な打ち合わせを行った。
 また、松澤は中央研究院近代史研究所に赴き、幕末対外関係史料である「日本商人疑来滬貿易事」を調査・蒐集した。
 第二回目 平成十四年二月十八日から二十二日までの五日間、山本博文・佐藤孝之・松澤克行・高橋典幸・黒嶋敏・阿部晶彦が出張した。山本・佐藤・松澤・高橋・黒嶋は史料の調査を行い、阿部は史料調査のための技術的補助とともに、台湾大学図書館からの要請を受け、史料修補の技術指導を行った。
 今回調査した史料の中には、「三浦文庫」という蔵書印が捺されているものが数点確認され、当史料群の蒐集責任者と推定される小葉田淳氏の恩師、三浦周行氏の蒐集史料が含まれていることが判明した。三浦氏蒐集史料が含まれている経緯については今後の調査をまたねばならないが、当史料群の形成過程の一端を窺うことができるものではないかと思われ、興味深い。
 なお、今回調査した文書は、以下の通りである。
(略)

   (山本博文・佐藤孝之・保谷 徹・松澤克行・高橋典幸・黒嶋 敏・阿部晶彦)

『東京大学史料編纂所報』第37号