東京大学史料編纂所

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広瀬資料館広瀬先賢文庫所蔵史料の調査

 広瀬資料館の敷地内にある広瀬先賢文庫の調査・撮影を行った。同文庫は広瀬宗家・成宜園関係史科を収蔵しており、広瀬貞治氏(広瀬宗家九世)・正雄氏(同十世)による整理に多くを負っている。
整理の全容は今後の検討課題だが、現時点では以下のように理解している。
 (一)まず、貞治氏が、広瀬八賢遺稿類などを家宝に指定し、家宝箱に収蔵したと思われる。たとえば、蔵の中に散在していた久兵衛(宗家六世嘉貞)日記類を集め家宝『久兵衛日記』とし書写を開始(後述)、林外(孝)の諸日記もあつめて家宝『林外日記』(後述)として現在のかたちに綴じ直した。
 (二)ついで、正雄氏が『久兵衛日記』の書写を完成させ、また書状類の一部を整理し巻子仕立にした。正雄氏は、『広瀬五譜』(後述)も編んでいる。
広瀬宗家『広瀬先賢文庫案内書』・広瀬先賢顕彰会『日田広瀬家三百年の歩み』(昭和四十八年、非売品)は、現在の広瀬先賢文庫のなりたちを知る手がかりを与えてくれる。また、杉本勲氏の整理によると、一九七一年時点では、同文庫の内容は、①家宝、②家宝に準ずる重要な遺稿、③八賢の所蔵手沢の写本と刊本、④久兵衛・源兵衛らの経営関係史料、⑤成宜園寄託の書籍、に大別できるとされている(杉本勲「豊後日田の広瀬家史料の調査によせて」『日本歴史』二七二号、一九七一年)。現在はこれらはいずれも木箱に収められており、そのうち多くのものが「家宝」と表記されている。
 目録としては、まず、宮本又次氏の調査を前提とした、杉本勲民らの研究グループによる九州大学文学部九州文化史研究施設『広瀬家文庫仮目録13』(昭和四十六年)、『成宜園蔵書目録‥大分県日田市立淡窓図書館保管』(昭和四十五年)、『広瀬家古文書フイルム目録』(昭和四十五年)がある(いずれも孔版印刷)。杉本氏はさらに、文書目録・蔵書目録各一冊を刊行、校訂を加えた上で本式の刊行を行う予定であったが、それは果たされていない。
 家宝部分については、広瀬貞雄監修、中村幸彦・井上敏幸編『広瀬先賢文庫目録』(思文閣制作、広瀬先賢文庫発行、平成七年)が刊行されている。
現在の収納状況は以下のとおりである。文庫は二階建てで、一階・二階ともに収蔵兼閲覧室と前室にわかれている。前室には、広瀬正雄・孝子夫妻の像(一階)や広瀬 八賢の肖像画など(二階)が展示されている。一階収蔵室には、左手に、書籍類を中心にする「家宝」箱、右手スチール棚に、九州大学文化史研究所『広瀬家文庫仮日録2・3』に収められた近世史料および未整理史料、奥中央に、屏風類を収めた大型木箱・未整理史料木箱(二箱)などが置かれている。二階収蔵室は、左手棚に日記・系譜などの「家宝」箱、右木製棚に、軸物を中心とする「家宝」類が納められている。また、中央奥に、書状類のうち正雄氏が整理し成巻した名家書簡の巻子類を収めた木箱が一二個、目録類を収めた金庫などが置かれている。入り口の本棚には、広瀬家に言及した書籍・論文などが収められている。
 本文庫の史料について史料集の形で刊行された主なものとしては、日田郡教育会編集・発行『淡窓全集』(昭和二年)、広瀬旭荘全集編集委員会編『広瀬旭荘全集(思文閣出版、昭和五十七年)、『広瀬淡窓旭荘書簡集』(弘文堂、昭和十八年)、『林外遺書』(和綴・非売品、田島勝太郎発行・円谷三之助印刷、昭和三年)、『広瀬青邨詩抄』(非売品、吉川孔敏発行、昭和四十五年)がある。
 以下、(1)一階近世史料、(2)二階「家宝」のうち日記類、(3)二階「家宝」のうち書状類について、調査内容を記す。
(略)

              (小野 将・杉本史子・箱石 大・保谷 徹・宮地正人・横山伊徳)


『東京大学史料編纂所報』第37号p.76