東京大学史料編纂所

HOME > 編纂・研究・公開 > 所報 > 『東京大学史料編纂所報』第31号(1996年)

所報―刊行物紹介

大日本古文書 家わけ第十八 東大寺文書之十六

 本冊は、東大寺図書館架蔵文書のうち、いわゆる「未成巻文書」の続き、第七冊目である。本冊には、文書番号にして、寺領部1/5架周防国衙領の文書のうち、前冊の残り四一点、1/6架周防与田保二五点、1/7架周防仁井令三九点を収めた。仁井令の文書の1/7/40は次冊収載予定の大和国河上荘関係の文書であり、次冊に譲った。やや変則的であるが、これにより寺領部1/5架・1/6架・1/7架までの出版を完了したものとする。
 国衙領は、前冊に続き近世の年貢勘文・年貢注文などが大部分を占める。また戦国末期毛利領国支配下での毛利との交渉に関する書状類(七五三・七六一・七六四の各号他)は、現地派遣の寺官目代である訓藝・仟雅・浄観などの活動を示すとともに、寺家側の苦心を窺わせる。なお国衙領関係現地地名に関して、山口芸術短期大学の田中倫子氏にご教示をいただいた。謝意を表したい。
 与田保は、鎌倉期から南北朝期にわたる、地頭一族と公文一族そして東大寺との相論関係文書を核とする。七八四号正和五年五月日与田保地頭光朝陳状案と八〇三号周防国雑掌定尊申詞事書土代は、すでに学界においてその存在が知られていたが、今回はじめて全文を翻刻した。
仁井令は、室町期の年貢結解状、天文年間の現地代官補任関係(八〇九号他)などである。
 なお、紙継目の剥離などによる散在文書は可能な限り原状に復し翻刻する、という前冊以来の方針は、本冊においても踏襲した。例えば七五〇号大和国小東荘収納日記は、『平安遺文』に分割され収められていたが、今回かなりの部分を復原した。残る前欠部分は平岡定海氏所蔵文書(『平安遺文』四六九八号)と考えられることを注記しておく。また七八九号与田保相論文書案は京都大学文学部博物館所蔵狩野亨吉氏蒐集文書によって復原した。閲覧に際して便宜をはかっていただいた同博物館助手今岡典和氏に謝意を表したい。接合文書を探すために、国立歴史民俗博物館の東大寺文書目録データベース、本所の古文書目録データベースを大いに活用した点を付記する。
(例言二頁、目次一二頁、本文三二六頁)
担当者 遠藤基郎


『東京大学史料編纂所報』第31号p.20