東京大学史料編纂所

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高野山文書の調査

 一九九四年三月二九日から同月三一日にかけて、高野山(和歌山県伊都郡高野山)の高野山大学付属図書館と高野山霊宝館を訪ね、文書と聖教類の調査を行った。
 高野山大学付属図書館(館長越智淳仁氏)では、まず、同館に保管されている聖教類の目録を拝見した。それらの目録はそれぞれ二、三種類作られており、いずれも高野山の聖教類の特徴を全体的に把握する上で貴重なものである。なお、これらの目録は、『国書総目録』を作成する頃に複写されたものが東京大学史料編纂所に架蔵されている。次に、山内の諸院家から同図書館に寄託されている聖教類と古文書類についての説明を受け、書庫内にあるそれらの聖教類・古文書類を拝見した。聖教類が大部分であり、古文書類は必ずしも多くはない。まだ未整理である。そして、同図書館が山内の諸院家から寄託を受けている聖教類・古文書類を整理・調査している部屋へ行き、そこでの実際作業を見学した。
 高野山霊宝館(館長山口耕栄氏)では、まず同館に1どのような古文書類が保管されているか、2それらの古文書類の調査・整理の状況、3マイクロフィルム撮影の状況などについて教示を得た。そして、国宝の宝簡集・続宝簡集・又続宝簡集のうち、又続宝簡集のなかの四巻を選んで、半日間調査した。
 なお、時間の余裕がなかったので、高野山大学密教文化研究所に訪れることは出来なかった。
 帰途、和歌山市の和歌山県立博物館を訪問して、建設中の同館の展示を見学した。同館の展示はすべて学芸員の創意によるものであり、限られた諸条件のなかで、実に意欲的な試みがなされていた。
                                (黒田日出男)


『東京大学史料編纂所報』第29号p.91