東京大学史料編纂所

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所報―刊行物紹介

大日本史料 第七編之二十六

本冊には、応永二十三年雑載、同年補遺、二十四年正月に関する史料を収録した。
応永二十三年雑載(承前)としては、諸家、死歿、学芸、荘園・所領、年貢・諸役、契約、譲与・処分、寄進、売買、貸借、訴訟、雑の項を収める。うち学芸の項では、近年、特に密教系寺院の史料調査の進捗に伴なって、聖教奥書類が増加する傾向にある。荘園・所領と訴訟の項では、最近、本所で購入した〔東寺植松荘方評定引付〕を早速使用できたことを特記しておきたい。〔東寺植松荘方評定引付〕は、平成元年度に購入、全二冊、応永二十三年〜二十四年の両年に亘ったものである。
 同年補遺は、第七編としては久々の�補遺�収録であるが、新たに綱文の立つものについて、思い切って収録してみた。うち特に�正月是月条「清水谷実秋、讃岐琴弾八幡宮ノ縁起ヲ清書ス、尋デ足利義持コレニ署判ヲ加フ」と、�七月十七日条「権大僧都法印宥快寂ス」は、これまで放置されてきた感が強い(ともに『史料綜覧』にも見えない)。�の琴弾八幡宮縁起は、様式上、特異なもので、担当者としては、収録に先立って検討、考証してみた(『古代中世史論集』所収「足利義持署判『八幡琴弾宮縁起』寸考」、吉川弘文館、一九九〇年)。�の「宥快寂ス」条については、急遽、担当者として現地高野山に赴き、宥快画像や聖教類を調査・撮影した(『史料編纂所報』二五号、一一頁)。とりわけ宥快画像(金剛峯寺所蔵)はカラー撮影し、本冊に挿入図版として掲載した。なお原物拝見により、この画像には裏書があることに気付き、製作の由来が確認できた。
 さらに補遺として、雑載社寺項に新出の〔東寺植松荘方評定引付〕等を加えた。
 応永二十四年は正月分のみだが、その八日条「後七日法及ビ太元帥法、尋デ足利義持、其道場ニ莅ミテ聴聞ス」には、醍醐寺文書九十九函から後七日法見聞略記(三十九号)・後七日御修法雑略記(四十号)・後七日御修法略雑記(四十一号)を全文掲載してみた。これらは、後七日法の実態、特にその構造面を詳細に示す貴重な史料である。十日条「足利持氏、足利満隆・持仲・上杉氏憲等ノ党ト武蔵世谷原ニ戦ヒテ、之ヲ破ル、満隆、鎌倉ニ退キ、是日、雪下ニ自殺ス、尋デ持氏、鎌倉ニ還ル」等は、前年から続く上杉禅秀(氏憲)乱の関係のものである。
(目次八頁、本文五五九頁、挿入図版一葉)
担当者 山口隼正・榎原雅治


『東京大学史料編纂所報』第27号p.70