東京大学史料編纂所

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所報―刊行物紹介

日本関係海外史料 イエズス会日本書翰集 訳文編之一(上)

本冊は、一九九〇年度から新しく刊行を始めたイエズス会日本書翰集 JESUlT LETTERS CONCERNING JAPAN Original Texts Selection �, Volume �, November,1547 - December 15,1552(自天文十六年十一月至天文二十一年十二月)の訳文編之一の上巻にあたり、一五四七年十二月より一五五〇年十一月二十日に至る報告書及び書翰三八点を収める。ポルトガル語文二五点、スペイン語文七点、イタリア語文三点、ラテン語文三点の翻訳本である。
文書数三八点のうち、報告書四点を除く三四点はすべて書翰である。報告書四点は、ポルトガル国エルヴァス市立図書館所蔵の写本集「インド及び日本の諸事に関する書物」Livro que trata das cousas da India e do Japão(写本番号五ノ三五一号)から採った。リスボン市アジュダ図書館所蔵の古写本「ジェズイータス・ナ・アジア」Jesuitas na Asia(写本番号四九ノ四ノ四九号)からは、七点の書翰を収録した。一五九八年にポルトガル国エヴォラで刊行された「日本書翰集」CARTAS QUE OS PADRES E IRMÃOS DA COMPANHIA DE JESUS ESCREVERÃO DOS REINOS DE JAPÃO & CHINA AOS DA MESMA COMPANHIA DA INDIA, & EUROPA, DESDO ANNO DE 1549 ATÉ O DE 1580, PRIMEIRO TOMOからは七点を採用した。
ゲオルク・シュールハマー及びヨゼフ・ヴィッキ編纂の『聖フランシスコ・ザビエル書翰集』EPISTOLAE S. FRANSISCI XAVERIIからは書翰一三点、ヨゼフ・ヴィッキ編纂の『インド史料集』DOCUMENTA INDICA からは書翰七点を各々採用し訳載した。
報告書及び書翰の執筆者は一四名で、一三号文書の「シナ諸事報告」のみは執筆者不詳である。他の報告書の作者は、ポルトガル船船長ジョルジェ・アルヴァレス(一号文書)とイエズス会司祭ニコラオ・ランチロット(六、七号文書)である。アルヴァレスの報告書は、フランシスコ・ザビエルの要請により作成されたもので、ヨーロッパ人による最初の日本報告として貴重であると同時に、ザビエルの日本布教着手に大きな影響を与えた。ランチ口ット作成の報告書二点は、日本人アンジロー(またはヤジロー)からの聴取にもとづく聞書きであり、六号文書では日本の政治体制や宗教について言及し、七号文書では日本の政治・軍事・貿易等について述べている。
書翰三四通のうち、二一通はザビエルの執筆になる。マラッカにおけるアンジローとの出会い、日本情報の蒐集、日本人のキリスト教への改宗の可能性等について言及した一五四八年一月二十日付の書翰(二号文書)を始めとして、日本渡航の次第や日本での見聞等について報じた鹿児島発信の六通(二九〜三四号文書)をも含む。
ザビエルの同行者であり、彼のインド帰還後に日本布教の上長となったコスメ・デ・トルレスの書翰(一九号文書)は、自らの略歴とイエズス会への入会の経緯、アンジローに対する霊的指導等について述べている。ゴアでキリスト教に改宗したアンジローの書翰(一〇号文書)は、彼がマラッカに渡航した事情やゴアに至ってキリスト教の洗礼を受けるに至った経緯をローマのイエズス会総会長イグナティウス・デ・ロヨラに書き送ったものである。他の一通(三四号文書)は、ゴアのイエズス会員に宛てて鹿児島から発信したものである。
三五〜三八号までの四通は、日本に渡航したザビエルの消息について言及した書翰である。
本冊には、解題として「前近代における日葡関係」及び「日本におけるイエズス会とキリスト教布教」を載せ、さらに「イエズス会総会長一覧」、「巡察師一覧」及び「日本イエズス会上長一覧」を付した。
(目次六頁、解題八頁、一覧表四頁、例言六頁、本文二五九頁)
担当者 五野井�史・浅見雅一・大橋明子


『東京大学史料編纂所報』第27号p.78