東京大学史料編纂所

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西大寺・陽明文庫・東大寺図書館における史料調査

 『大日本史料』第五編之二十八出版のため、一九八九年十一月十三日より十五日まで奈良・京都方面に出張し、西大寺、陽明文庫および東大寺図書館において写真撮影および原本校正を行った。
 西大寺においては、「海龍王寺文書」および「西大寺三宝料田畠目録」(「西大寺田園目録」)を撮影した。今回撮影した「海龍王寺文書」の内容は次のとおりである。

1一、貞和三年五月一日 仏舎利相承記                   一通
    ○貞和五年九月十八日の奥書あり。
2一、文和二年九月十八日 仏舎利相承記                  一通
    ○以上二通を一巻とし、延宝七仲秋日の修補銘を付す。
3一、応永十九年極月一日 皇后御筆経寄進添状               一通
4一、寛元元年十一月日 海龍王寺僧等申状                 一通
5一、建長元年四月廿六日 官宣旨案                    一通
6一、暦応二年十月十三日 足利直義書下案                 一通
    ○以上二通を一紙に書す。
7一、延慶二年十月日 番匠召使条々                    一通
8一、延慶二年十二月三日 仏舎利寄進状                  一通
9一、元亨三年七月日 堺荘惣田数目録                   一通
10一、徳治二年閏八月日 海龍王寺厨所条々禁制              一通
11一、貞和三年四月日 海龍王寺八斎戒衆規式条々             一通
12一、(年月日欠) 衆議条々                      一通
    ○以上三通を三紙の続紙に書す。
13一、(年月日欠) 海龍王寺旧記                    一通

なお本所の架蔵する影写本「海龍王寺文書」(架番号3071.65—46)には7・9・10・11・12を収めるがその他は見えない。反対に影写本に収められながら、今回の調査で確認できなかったものが五通ある(うち一通は4と同文)。『大日本史料』第五編之二十八に収めた宝治二年十月三十日将来律西大寺分配分状もその内に含まれ、やむなく影写本を底本とした。
 陽明文庫においては、宝治二年十一月日近衛家領伊勢益田荘申状を撮影し、原本校正を行った。
 東大寺図書館においては、「諸宗疑問論義抄」「天台宗論義本抄」等の原本校正を行った。
                       (黒川高明・針生邦男・近藤成一)


『東京大学史料編纂所報』第25号p.8